抄録
1959年から, 処女マウスでありながら乳腺〓胞形成を示す点で特徴的なマウス系統の育種をはじめた。選抜方法は, ♀では直接に乳腺を検索し, 乳腺〓胞を示した個体もしくはその姉妹を交配に用い, ♂は後代検定もしくは兄弟検定によった。♀は離乳日からすべてその全姉妹と同一ケージに収容し, ♂の臭いにさらした。乳腺の検索は10~14週令に行った。
1961年の後半に1対のマウスをえらび, それらの後代について自発性乳腺〓胞形成の頻度をしらべたところ, 直系群では74.3%, 傍系群では54.8%を示した。それら2群の後代でさらに選抜をつづけたところ, 11週令時乳腺検索において49.7%を示した。これらマウスは13週令時検索には, 100%に近い頻度を示すと思われる。
系統育成につづく今後の維持の問題として交配法をとりあげて考察し, さらに本系統の繁殖性における効用について述べた。