抄録
1.日本で育成された近交系マウスをもちいて, 正常血清中に含まれる抗鶏血球凝集素の出現率を検討した結果, 血球抗原として名古屋種B系の鶏血球をもちいた場合, 凝集素をもつ個体の出現率はつぎの通りであった。CS系: 18.5%, NC系: 44.2%, KK系: 45.9%, DDK系: 50.7%, CF#1系: 42.1%, C57BL/6系: 58.3%
2.マウス正常血清中の抗鶏血球凝集素は抗原としてもちいる鶏血球によりかなり反応性を異にし, 名古屋種の血球をもちいた場合, 反応のみられなかった血清も地鶏群の血球に対しては強い反応を示した。
3.吸収試験の結果, マウス正常血清中の抗鶏血球凝集素は少くとも2つの質的に異る抗体が含まれることが判明した。このことは, 鶏の血液型を分類するためマウスの正常血清が利用しうる可能性を示すものである。