抄録
マウスの成長段階と絨毛性性腺刺激ホルモン (HCGと略) に対する生殖器の反応性に関与する遺伝的要因を検討する目的で, 6~30日令のddマウスならびに15~24日令の種々の系統マウスについて, HCG注射前後の腟開口反応, 卵巣の出血濾胞, 黄体形成反応を観察するとともに卵巣および子宮重量を測定し, 次に要約する成績を得た。 (1) ddマウスの腟開口は生理食塩液に対して, 15日令までみられなかったが, HCGに対しては12日令で, 42%の腟開口陽性率を示した。卵巣の出血濾胞, 黄体形成反応は生理食塩液に対しては27日令までみられなかったが, HCGに対しては18日令から, 高い反応陽性率を示した。卵巣重量は生理食塩液およびHCGに対して12~21日令まで, 同様の傾向にある重量増加を示したが, 子宮重量は12日令の早期から, HCGに対して漸増した。 (2) 各系統マウスの注射時における腟開口について, C3H/Heは18日令, SS, ddは24日令で腟開口陽性を示したが, CF#1, DDK, C57BL/6は陰性であった。HCGに対する解剖時の腟開口反応はDDK, ddを除く, 4系統マウスとも15日令で高い陽性率を示した。出血濾胞・黄体形成反応は生理食塩液に対して, 24日令まで0%であった。HCGに対しては, 15日令で各系統マウスとも0%, 21日令で高い反応陽性率を示し, 18日令においてマウス系統間の反応陽性率に差異がみられた。卵巣重量は系統, 日令によって異なり, 24日令では, HCGに対し増加率の低下する系統と上昇する系統マウスに類別された。また, HCGに対する子宮重量反応は日令による反応差よりも, 系統による反応差の大きいことがみられた。
(3) SSマウスの腟開口反応はHCG低用量 (1.5 I.U.) に対し, 12日令において高い反応陽性率を示した。出血濾胞・黄体形成反応は21日令でHCG用量の差による反応陽性率に差異がみられたが, 24日令ではHCG用量の差による反応陽性率に差異がみられなかった。卵巣重量は21日令から漸増し, 24日令においてHCG用量の差による反応値に差異がみられた。子宮重量は12日令から, HCG用量の差による反応値に差異がみられた。しかし, 24日令では高用量 (6.0 I.U.) に対する反応値の低下することがみられた。