実験動物
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マウス飼育の自動化についての2, 3の試みI.金網ケージによる飼育成績
長澤 弘宮本 盛吉藤本 政晴榑谷 和男
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1973 年 22 巻 4 号 p. 303-306

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抄録
マウス飼育の自動化に関する基礎データをうる目的で, 金網ケージ (ステンレス製トレイ付, 16×29×12cm, 網目0.5×0.5cm) によって飼育されたマウスの発育, 腫瘍移植後の生存日数を, 従来の一般に用いられている床敷ケージ (ポリカーボネート製, 18×27×13cm) の飼育の場合と比較検討した。
使用したマウスは4週齢のICR-JCL, ddY-SLCの2系統で雌, 雄各30, 計60匹である。それぞれ系統別, 雌雄別に1ケージ5匹ずつ収容し, 固型飼料と水を自由に与え, 温度26±0.5℃, 相対湿度60~70%の動物室で飼育し, 生後30日より140日齢まで10日毎に体重を測定し, 140~150日齢で腹水化腫瘍 (S-180, Ehrlich) を移植し, その後の生存日数を観察した。
両ケージによる成績を比較検討した結果,
1.金網ケージによって飼育されたddY-SLC雄においては床敷ケージの飼育より発育が著しくよかった。その他の群では飼育ケージによる発育の差は認められなかった。
2.腫瘍移植後の生存日数において, 飼育ケージのタイプによる差は全く認められなかった。
3.実験の目的によっては, マウスを金網ケージで飼育することはなんら支障がないと結論され, この飼育方法によって, 自動給排水方式によるマウス飼育の省力化が十分可能と考えられた。
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© 社団法人日本実験動物学会
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