Experimental Animals
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小型ヤギいわゆるシバヤギの遺伝子構成
野澤 謙加納 康彦沢崎 徹西田 隆雄阿部 恒夫庄武 孝義松田 洋一
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1978 年 27 巻 4 号 p. 413-422

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抄録

長崎県下に原産地をもつ小型ヤギ, いわゆるシバヤギの遺伝学的調査がおこなわれ, 以下の知見を得た。
1.長崎県下では飼養個体数が近来激減し, 現在シバヤギの飼養が見られるのは新魚目町と外海町の2町, 飼養頭数計190頭にすぎない。
2.形態学的遺伝形質は原産地においては均質化に向かいつつあり, また農林省畜産試験場コロニーと東大農学部附属牧場コロニー, 特に後者は高い均質度を示す。シバヤギは一般に白色で有角, 肉髯を欠き副乳頭をもつ。
3.血液蛋白27座位の遺伝的変異を電気泳動法により検索すると, 変異性は日本ザーネン種を下廻り, 特に東大牧場コロニーにおける変異性は著しく低い。シバヤギの在来ヤギとしての純度は沖縄肉用ヤギよりも高いと考えられる。
4.東大牧場コロニーの低変異性の原因を血統分析によって調べたところ, 意識的近交は避けられる傾向があるにも拘わらず, 基礎畜の数が少なかったこと, 集団サイズの小さかったことが主因となって近交度の上昇をきたし, その結果, 集団の遺伝子構成が均質化したと推測される。

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© 社団法人日本実験動物学会
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