Experimental Animals
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東北大学医学部における入手犬のBrucella canis汚染調査
菊地 通子佐久間 是行佐藤 保鈴木 茂星 重義佐藤 喜一信永 利馬伊佐山 康郎町島 美徳石田 名香雄
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1979 年 28 巻 2 号 p. 279-286

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抄録

1976年12月から1977年11月までの1年間に宮城県および福島県北部沿岸地域から東北大学医学部に搬入されたイヌ, 1, 549頭についてB.canisに対する血清学的調査ならびに菌検索を行ない, 以下の結論が得られた。
1) 年間を通じて凝集反応陽性率は1, 549頭中173頭 (11.2%) , 菌の検出率も148頭中55頭 (3.6%) と, 他の地域に比較して高率 [9, 19] であり, B.canisによるノイヌの汚染は東北地方においてかなり拡がっている。
培養した血液, 尿, 肝, 脾, 腎, 膀胱, リンパ節, 精巣, 精巣上体, 前立腺, および子宮といったすべての部位からB.canisが分離されたが, 特に子宮および脾から高率に分離された。
2) 入手地域別の凝集反応, 菌の分離成績は地域間相互に差がなく, B.canisによる汚染が宮城県および福島県北部において, くまなく拡がっていることが明らかになった。
3) 入手月ならびに推定年齢別に対する凝集反応および菌検索成績については, 特に一定した傾向はみられなかった。
4) 雌雄間では, 凝集反応陽性率に関しては差がなかったが, 菌の検出率では雌が雄よりも高かった。
5) 純粋種においても凝集反応陽性例がみられ, その中の1頭からB.canisが分離されたが, 雑種犬よりも陽性率が低かった。
6) 乳腺ならびに1: 80で菌培養陰性の母犬が分娩した新生仔から菌が分離され, B.canisにおける垂直感染の問題が提起された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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