Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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Wistar-Imamichiラットの乳頭数の変異について
藤田 博文若藤 靖匡上松 嘉男今道 友則
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1980 年 29 巻 1 号 p. 61-66

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抄録

ラットの乳頭数は一般に胸部, 腹鼠径部各3対計12個であるが, 乳腺を伴なう乳頭数の多い動物を育種することができれば哺育能力を高め, 生産効率を向上させることに結び付く可能性が期待できる。この様な見地から, Wistar-Imamichiラットの乳頭数の変異 (副および欠如乳頭出現の有無) について調査検討を行った。
調査総数3606頭のうち241頭 (6.68%) に乳頭数の変異が認められた。241頭中229頭に1個, 9頭に2個の副乳頭が出現し, 3頭に右胸部第II乳頭の欠如が認められた。
副乳頭出現部位はほぼ全域にわたったが, 特に胸部第III乳頭の前後域・腹鼠径部第II-III乳頭域で多く出現し, 左右胸部第1乳頭前域・右胸部第I-II乳頭域および右腹鼠径部第I乳頭前域にはみとめられなかった。
変異乳頭は腹鼠径部よりも胸部で, 右側よりも左側乳頭域に多く出現する傾向が認められた (P<0.01) 。
調査対象の同腹姉妹組数は791でそのうち177組は各組内に1頭つつ, 29組には2頭づつ, 2組には3頭つつの動物が副乳頭を有し他の583組には副乳頭出現動物は認められなかった。副乳頭出現動物が2頭以上みつかった同腹姉妹組 (31組) における姉妹同志 (38組合せ) での副乳頭出現部位の類似率は89.47%であった。
変異乳頭出現に関して遺伝率を推定したところh2=0.8074であった。したがって, 表型選抜による育種の可能性が示唆された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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