抄録
ddY系マウス雌雄各120匹を2年以上群飼育し, その間に自然発生した腫瘍を病理組織学的に検索した結果, 雄で47.5%, 雌で66.7%の頻度で何らかの腫瘍が見出された。なお, 実験途中での死亡例を考えた有効総数法で換算すると, 雄で64.4%, 雌で80.0%の頻度であった。肺腫瘍, リンパ腫および乳腺腫 (雌のみ) が他の臓器に比較して多発したが, 各臓器に各種の腫瘍が観察され, AKRでの白血病 (雌雄で66-70%) あるいはC3Hの乳癌 (雌で95%) で代表されるような腫瘍発生の片寄りはみられなかった。病理組織学的には, 肺腫瘍では乳頭状腺腫, 乳腺腫瘍では単純性腺腫, リンパ腫ではリンパ肉腫未分化型が大半を占めていた。