抄録
Bordetella bronchisepticaのウサギに対する感染性ならびに病原性を知る目的で, 3日齢の哺乳仔と2~3ヵ月齢の若齢仔を用いて本菌の経鼻感染実験を行った。得られた成績を要約するとつぎの通りである。1.本菌の5×102, 104, 106菌数を若齢ウサギに経鼻接種したところ, 104菌数では5匹中3匹が, 106菌数では5匹全例が感染した。2.若齢ウサギに5×106菌数を接種し, 感染の経過を調べたところ, 菌は5日以内に気管で増殖し, 10日では肺からも検出された。接種菌は, その後40日頃より一部の個体の肺や気管から消失し始め, やがて全例の肺から検出されなくなったが, 鼻腔や鼻道には90日後もなお生残した。しかし, 臨床的異常や肺炎病巣の形成はいずれの感染期においてもみられなかった。3.本菌の5×106菌数を哺乳仔に接種したところ全例に肺炎病巣の形成や漿液性鼻汁の排出がみられた。しかし, 死亡例は皆無であった。