抄録
嗅覚の遮断による生殖機能への影響を検討するためIVCS, ICRおよびC57BL/6系マウスの嗅球を摘出し, 腟垢周期および主要内分泌臓器重量などをそれぞれの対照群と比較検討した。各系統マウスとも生後8週齢にて嗅球を摘出した後, 個別飼育し摘出6週後に解剖した。その結果, 次のような成績を得た。1.腟垢周期に関して, IVCS系マウスでは手術自体の影響だけが観察された。これに対し, ICRおよびC57BL/6系マウスでは対照群に比べ発情周期が若干延長する傾向が認められた。2.主要内分泌臓器重量については嗅球摘出群の卵巣重量において, IVCS系マウスでは対照群との間に有意な減少が認められた。また, ICR系マウスでは対照群の63%の値に止まっていた。C57BL/6系マウスでは対照群とほぼ同様の値であった。