Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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マウス表皮メラノサイトの分化に対するアクチノマイシンDおよびシクロヘキシミドの効果
広部 知久
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1983 年 32 巻 1 号 p. 21-27

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抄録
C57BL/10J系統マウスの出生後からの表皮メラノサイト (ドーパ反応陽性細胞) の数の増加は, 皮膚にアクチノマイシンDあるいはシクロヘキシミドを注射することによって有意に抑制された。一方, 表皮メラノブラストーメラノサイト集団 (ドーパ・プレメラニンニ重反応陽性細胞) の数は, これらの処理によって変らなかった。したがって, アクチノマイシンDとシクロヘキシミドは, メラノブラスト内にすでに形成されていたドーパ・プレメラニンニ重反応陽性物質の活性は失活させず, メラノブラストのチロシナーゼ活性の誘導を抑制するものと考えられた。また, マウスにα-MSHあるいはDBc-AMPを注射すると表皮メラノサイトの数が増加するが, これはアクチノマイシンDあるいはシクロヘキシミドの注射によって抑制された。したがって, 出生後の表皮メラノサイトの分化およびホルモンによって誘導された分化には, 新生の転写および翻訳の過程が必要であると示唆された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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