Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
32 巻, 1 号
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  • 山内 忠平, 藤田 省吾, 小原 徹, 上田 智之
    1983 年 32 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    12℃から32℃までの2℃間隔の室温で2世代のマウスを飼育した。出産率は30および32℃で, 産仔数と離乳率は28℃以上で減少したが, 12~26℃の範囲内ではどの繁殖項目にも有意差をみとめなかった。22℃で生産されたマウスを各種の温度に移した第一世代マウスの体重は, 暴露8および16週後において14~28℃の間では差がなかった。また, 各種湿度で繁殖育成されたマウスの体重は, 各週齢とも20~26℃の範囲では差をみとめなかった。これらのマウスの摂餌量および飲水量も20~26℃の間では異ならなかった。第一世代および第2世代のマウスの血液性状および臓器重量も少なくとも20~26℃の範囲ではいつれの測定項目にも有意差をみとめなかった。以上の結果から, マウス飼育室の適温は20~26℃の範囲であると推測した。
  • 松井 京子, 真野 行生, 向山 昌邦, 村本 治, 豊島 英徳, 安藤 一也
    1983 年 32 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウスの新生仔期にcytosine arabinoside 50mg/kgを3回皮下注射して作成した運動失調マウス (Ara-Cマウス) にTRH-T25mg/kgを週齢別に腹腔内注射し, 運動失調に対する効果および運動量に対する影響をopenfieldおよびANIMEX-IIにより行動薬理学的に検討した。さらに週齢別に小脳の病理組織学的変化についても検討を加えた。TRH-T投与によりAra-Cマウスの運動失調は中等度の改善を示し, 幼若なAra-Cマウスの方が成獣のAra-Cマウスよりも運動失調改善の傾向が著しく, TRH-T投与による運動量の増加は逆に成獣のAra-Cマウスの方がより多く週齢によりTRH-Tの薬理学的効果の差異が認められた。しかし, 加齢による明らかな病理組織学的所見の変化は認められなかった。Ara-CマウスのTRH-T投与による行動薬理学的反応は遺伝性運動失調マウスのweaverマウスと類似し, Rolling mouse Nagoyaとは異なっていたが, これは小脳の病理組織学的変化の相違によるものと考えられた。
  • 広部 知久
    1983 年 32 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    C57BL/10J系統マウスの出生後からの表皮メラノサイト (ドーパ反応陽性細胞) の数の増加は, 皮膚にアクチノマイシンDあるいはシクロヘキシミドを注射することによって有意に抑制された。一方, 表皮メラノブラストーメラノサイト集団 (ドーパ・プレメラニンニ重反応陽性細胞) の数は, これらの処理によって変らなかった。したがって, アクチノマイシンDとシクロヘキシミドは, メラノブラスト内にすでに形成されていたドーパ・プレメラニンニ重反応陽性物質の活性は失活させず, メラノブラストのチロシナーゼ活性の誘導を抑制するものと考えられた。また, マウスにα-MSHあるいはDBc-AMPを注射すると表皮メラノサイトの数が増加するが, これはアクチノマイシンDあるいはシクロヘキシミドの注射によって抑制された。したがって, 出生後の表皮メラノサイトの分化およびホルモンによって誘導された分化には, 新生の転写および翻訳の過程が必要であると示唆された。
  • 斉藤 学, 武藤 健, 春園 繁次, 中川 雅郎, 佐藤 真澄
    1983 年 32 巻 1 号 p. 29-37
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    われわれの研究室で維持している14系統の近交系モルモットコロニーに発生した肺炎球菌感染を, 1981年1月から10月にわたって疫学的に観察した。発症個体の月別発生率は16.6~0%で, とくに発生の最初の月に多かった。しかし, 系統によって発症率に著しい差がみられ, JY-1系の75%に対してJYGやStrain 2系では0%であった。発症個体は立毛, 鼻孔周囲の乾燥した汚れ, 腹部の削痩, 呼吸困難などの症状を示し, 一部には死亡例もみられた。病理学的には線維素化膿性肺炎, 胸膜肺炎および胸膜炎が主病変で, 一部の個体ではさらに線維素化膿性心外膜炎, 腹膜炎とこれに伴う胸水や腹水の滲出がみられた。菌は大部分の有病変臓器および鼻腔や気管から分離された。鼻腔からの検出率はとくに高く, 無症状保菌動物も含めて, 感染動物の97.1%が陽性を示した。鼻腔検査によって健康保菌動物を3回にわたって調べたところ, 保菌率は17.2%から36.5%まで徐々に増加する傾向がみられたが, JYG系では常に陰性であった。
    観察期間中にホルマリン死菌ワクチンの接種, 早期離乳, 飼料中ビタミンCの増加などの防止対策を施したが, その有効性は確認できなかった。一方, 本流行例から分離した1菌株をハートレイ系モルモットに経鼻感染させたところ, 自然例と相似の病変を形成した。
  • 高橋 正一, 久須美 圭子, 朱宮 正剛, 長瀬 すみ
    1983 年 32 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    4週令から52週令に至るNAR (長瀬無アルブミンラット) の血漿脂質濃度について検討した。さらに, 肝機能に関連する血漿酵素活性の測定もおこなった。この結果, 総脂質, 総コレステロール, 燐脂質およびトリグリセライドの値は正常ラットに比し上昇していたが, 遊離脂肪酸の値は減少していた。脂質の年令による上昇は, NARの雌に強く認められた。性腺摘出NARをもちいて, 血清脂質に対する17β-エストラジオールおよびテストステロンの効果について検討した。17β-エストラジオール投与群では, 血清脂質の値は上昇を認めたが, テストステロン投与群では効果は認められなかった。雌のNARにアルブミンを投与し, 血清脂質に対するアルブミンの効果についても検討したが, アルブミンを投与された雌NAR血清脂質は, 低値を示した。血漿グルタミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ, グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ, 乳酸脱水素酵素およびロイシンアミノペプチダーゼ活性値は, 正常ラットに比し高値を示した, 血漿アルカリホスファターゼおよびコリンエステラーゼ活性値については, 両ラットでほぼ同じ値を示した。
  • 山中 聖敬, 松崎 哲也, 斎藤 宗雄
    1983 年 32 巻 1 号 p. 47-49
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    10週齢オスのナキウサギおよびスンクスの消化管の長さならびに内容物を含めた重量を測定し, ミラルデイア, マウス, ラットのそれらと比較検討した。ナキウサギの十二指腸から肛門までは長く, 胃から肛門までの重量は体重1009あたり約16gであり, なかでも盲腸は約79で他の動物種に比較して重かった。スンクスの十二指腸から肛門までの長さは短かかったが, それの体重あたりの重量は, 他の動物種の小腸に結腸・直腸を加えた重量とほとんど変わらなかった。さらに, スンクスは盲腸を欠いているが, 胃から肛門までの重量はラットのそれと変わらなかった。
  • 近藤 靖, 山田 淳三
    1983 年 32 巻 1 号 p. 51-54
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット尿pepsinogenの電気泳動による多型を支配する遺伝子座はアルビノ遺伝子座 (LGI) と連鎖があるという報告 (Cramer, 1981) に基づき, Pg-1, C, およびHbb遺伝子座の3点テストを行なった。近交系およびそのF1交雑種の尿の電気泳動の結果, Pg-1は常染色体性でPg-1a (slow) , Pg-1b (fast) の2つの共優性遺伝子を持つことが確かめられた。しかし ( (WF×IS) ×WF) の戻し交雑世代での解析の結果, CHbbの間には強い連鎖が認められた (組換価: 10.5±3.5) が, Pg-1CともHbbとも連鎖が認められず (χ2=0.223および0.867) , Pg-1はLGIには属さないことが強く示唆された。同じ戻し交雑世代の結果から, Pg-1Mup-1 (LGII) , a (LGIV) , Es-3 (LG V) およぶh (LG VI) とも連鎖が認められなかった。Pg-1はラット近交系間に広く多型が存在し, また既報のLGの多くとも連鎖がないことから, ラットにおける主要な標識遺伝子の1つとして, 非常に有用な遺伝子である。
  • 仲川 憲一
    1983 年 32 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 1983/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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