Experimental Animals
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ナキウサギ腸粘膜の形態学的特徴
九郎丸 正道早川 徹関 真城 勝哉
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1984 年 33 巻 4 号 p. 509-518

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抄録
ナキウサギの腸管各部を肉眼, 光顕および走査電顕で観察し, カイウサギ (日本白色種) のそれらと比較検討した。カイウサギの十二指腸粘膜はヒダ構造でおおわれるが, ナキウサギでは葉状ないし円柱状の絨毛からなる。しかし回腸では両者とも円柱状の絨毛が存在する。ナキウサギの回盲口付近には回盲口部虫垂とよばれる特異的なリンパ装置が発達し, 結腸への移行部においては筋層が厚く発達した狭窄部とよばれる特有の部位が認められる。狭窄部の粘膜表面は網目状のヒダ構造を示し, ヒダの側面には多数の絨毛様小突起が存在する。またカイウサギの盲腸粘膜にはラセン状に走る盲腸ラセン弁が認められるのに対し, ナキウサギではラセン弁は存在せず, 代わりに細長い小突起 (盲腸指状突起) が盲腸膨起間の溝の部分から輪状に突出している。結腸近位部以下では両者とも3本さらに1本の結腸ヒモをもつ部位が順に続いた後, 結腸ヒモのない部位へと移行している。結腸ヒモ3本の部位ではナキウサギの粘膜表面には多くの小突起があり, その粘膜固有層中には粘液腺が存在するのに対し, カイウサギではいずれも認められない。結腸ヒモ1本の部位ではナキウサギの粘膜表面は絨毛様隆起におおわれるが, カイウサギではコブ状隆起が連続している。この部位では両者とも固有層中に粘液腺をもつ。結腸ヒモのない部位では両者とも粘膜面は比較的平坦で, 固有層中には直腸に至るまで粘液腺が観察される。
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© 社団法人日本実験動物学会
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