Experimental Animals
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高齢多尿症 (IVCS系マウス) の臨床および病態についての研究
大庭 清沢井 高志信永 利馬石田 名香雄
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1985 年 34 巻 2 号 p. 123-130

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抄録

IVCS系マウスは, 高齢になると雌雄ともに全例が, 多尿症を示すようになるので, その発現機序を明らかにするために生化学的および組織学的な検討を行なった。その結果, 7~8ケ月齢頃より多尿の傾向が認められ, 10~11ケ月齢になると飲水量, 尿量は顕著に増加し, 12ケ月齢以降にはDDI系マウスの約5~6倍の値を示した。多尿症マウスの尿浸透圧は比較的低張で, 発症初期には尿量の増加とともにNa, K排泄の増加も認められ, 多尿症がかなり進行した状態では蛋白尿特に低分子蛋白の排泄が多くの個体で認められた。さらに多尿症が発症した直後では, 発症前とくらべてADHに対する感受性が極端に低下することが認められた。これらの事実から, この多尿症の原因は腎尿細管機能障害に起因するものと考えられる。また組織学的検索の結果, 多尿を呈する頃より肝, 腎, 脾などに無構造物質の顕著な沈着が認められた。以上の結果, IVCS系マウスは加齢にともない多尿症および沈着症を発現する特徴的な系統であることが明らかとなった。

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© 社団法人日本実験動物学会
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