Experimental Animals
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Print ISSN : 0007-5124
食餌性動脈硬化症モデルとしてのG隸ttingen Miniature Swineについて
谷川 学赤池 勇安達 二朗真貝 博常井 和男内山 智晴茨木 弟介望月 公子
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1986 年 35 巻 1 号 p. 47-57

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抄録

G隸ttingen系ミニブタ24頭を用い, 高脂肪・高コレステロール食群, 高脂肪食群および市販のブタ用固型飼料給餌群の3群に分け, 給餌1, 3, 6および9ヵ月後に, 血清生化学的検査を行い, 剖検後血管を組織学的に観察した。動脈硬化症病変は, 高脂肪・高コレステロール食群のみに認められ, 高脂肪食群および市販固型飼料群では全くみられなかった。給餌1ヵ月後に腹大動脈, 冠状動脈および上行大動脈の分岐部を中心に内膜の肥厚が観察され始め, 3ヵ月をこえると病変の強さと拡がりはともに増大した。肺動脈および大脳動脈では, 給餌後6ヵ月に至ってはじめて病変が観察された。病変の型は動脈の組織学的構築と関係があり, 弾性型を示す胸大動脈にはFatty streakが, 移行型, 筋型を示す腹大動脈, 腸骨動脈などにはFibrous plaqueが観察された。給餌期間中, 高脂肪・高コレステロール食群は高cholesterol血症, 高β-lipoprotein血症を示した。また, 高脂肪, 高コレステロール負荷によって, 特に1, 3ヵ月後に蛋白, 糖, 酵素などの血清生化学値に大きな変動がみられた。今回の実験から高cholesterol血症および高β-lipoprotein血症が動脈硬化症の発症とその促進因子となること, および動脈硬化症病変の分布と性状がヒトのそれと類似していることが明らかとなり, G隸ttingen系ミニブタが動脈硬化症研究のモデルとして有用であることが強く示唆された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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