抄録
8種の動物における血清コリンエステラーゼ (ChE) の多様性を電気泳動法によって比較検討した。 (1) 一部のウサギ血清において, ブチリルチオコリンを著明に水解する電気的易動度のもっとも大きな分画が認められ, これは10-5Mエゼリンで阻害されなかったことから非特異的エステラーゼであると考えられた。 (2) 2種のチオコリンを基質としたときの電気泳動パターンは, イヌ, ミニブタ, ウサギおよびハムスター血清において, ブチリルチオコリンを用いたときに比ベアセチルチオコリンを基質としたときの方が分画数は多く観察された。また, アセチルチオコリンを用いたときのみ染色される分画 (イヌ: C3, ミニブタ: C1, C2, ウサギ: C1, ハムスター: C3) の活性は, 6.1×10-2Mカフェインによって阻害され10-4Mエトプロパジン抵抗性を示したことから, それが真性ChEであることが示唆された。