抄録
筑波医学実験用霊長類センターの個別ケージ内繁殖方式によって得られた1歳齢未満のメスのカニクイザルで測定した17変量の血液学的および血清生化学的測定値に多変量解析法を適用した。正準判別分析の結果, 第1正準変量は, 母ザルによる哺育中と, 離乳後の摂餌状況のちがい (母乳と飼料の差) を検出している可能性が示唆された。また第2正準変量は, 離乳後の成長過程のちがいを検出したものと判断される。第2正準変量への寄与の大きい項目は, 総タンパク量, アルブミン量, アルブミン・グロブリン比, 総コレステロール量, 遊離コレステロール量, 中性脂肪量, アルカリ性フォスファターゼ活性および白血球数であった。これらの項目は, 1歳齢以上のカニクイザルの成長を追跡するのに必要とした我々の既報における成績と一致するものである。