Experimental Animals
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マウス下顎骨の大きさにおけるキメラ性ヘテローシス
後藤 信男福田 勝洋今村 憲吉大西 彰三上 仁志
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1988 年 37 巻 1 号 p. 45-51

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抄録
2近交系マウスC57BL/6CrJmsとBALB/cCrJmsから作出された集合キメラマウス下顎骨の大きと形がこれら2系統および正逆雑種F1のそれらと比較検討された。下顎骨計測値に主成分分析を施したところ, 大きさの因子として第1主成分 (PC1) , 形の因子として第2主成分 (PC2) が抽出された。キメラマウスのこの骨では, PC1, PC2とも概して個体差が2系統およびF1マウスより大であった。しかし, 平均的にはキメラのPC1は2系統よりも大きく, F1のそれらとほぼ同じあるいはそれ以上の値を示した。そして, PC1で表わされるこの骨の大きさは2系統由来の細胞がほぼ同じ割合で混合している個体ほど大であり, どちらかの成分が片寄るほど小となる傾向が認められた。以上は雌雄とも認められた。このことから, recipientとして用いたICRマウスによる母体効果があったとしても, 下顎骨の大きさに関し2種類の細胞の相互作用によるキメラ性ヘステローシスの存在が示唆された。形の因子であるPC2については, キメラはF1と同様に2系統の中間の値を示した。下顎骨の形状 (大きさと形) は, 雌のキメラおよび (C57BL/6×BALB/c) F1の形 (PC2) にのみ左右不相称がみられたが, その他はすべて相称型を示した。
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© 社団法人日本実験動物学会
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