Experimental Animals
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Wistar系雄性ラットにおける小腸粘膜アルカリフォスファターゼ活性の糞中排泄とそれに及ぼすシステアミン投与の影響
金 順姫四童子 好広細谷 憲政
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1988 年 37 巻 1 号 p. 7-12

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抄録
Wistar系ラット (雄性) は, 体重が1509である時, 糞抽出物中の総アルカリフォスファターゼ (ALP) 活性は, 133.1±21.2μmoles/min/day (n=5) であった。小腸ALP活性の特異的阻害剤L-フェニルアラニン (L-Phe) 30mMで阻害されるALP活性は, 総ALP活性の63.7%であった。糞中のALP活性は, ラットの成長に伴って急激に減少し, 体重が3009に達すると, 1509時の1/4にまで低下した。しかし, L-Pheで阻害されるALP活性の割合は, 総活性の40~65%であり, ラットの体重や日齢に関係なく比較的一定であった。体重3009のラットにシステアミン (400mg/kg) を皮下注射し, 糞中ALP活性を個体毎に観察した。L-Pheで阻害されるALP活性はシステアミン投与前3日間の平均値5.07±0.90μmoles/min/day (n=10) に比べ, 投与後3日間は1.97±0.42μmoles/day (n=12) となり, システアミン投与後に明らかに低下した。その後, 4日目から7日目の間にL-Pheで阻害されるALP活性の急激な増加が観察された (4例中2例) 。以上の結果から, ラットにおいて小腸粘膜由来のALPがその活性を保持したまま排泄されていることを確認すると共に, それが加齢とともに減少することを初めて見いだした。また十二指腸潰瘍誘起剤の投与によって小腸粘膜由来のALP活性の糞中排泄は変動することが明らかにされた。
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© 社団法人日本実験動物学会
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