Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
片側卵巣摘出ラットの胎児重量に対する子宮内位置効果
小崎 司高橋 寿太郎安田 泰久
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1988 年 37 巻 1 号 p. 13-20

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抄録
右側卵巣の摘出により, 代償性の過剰排卵を誘起させたラットを用いて, 妊娠21日目の胎胞, 胎児および胎盤重量に対する胎児の子宮内位置効果を検討した。その結果は, 次のようである。1.一腹胎児数は母体重量に比例して増加するが, 母体重量と胎胞, 胎児および胎盤重量との間に, 有意な相関関係に認められなかった。2.雄の胎胞および胎児重量は雌より重かったが, 胎盤重量では性差がみられなかった。3.一腹胎児数が増加すると, 胎胞および胎児の平均重量は減少する傾向がみられたが, 胎盤重量は一定の傾向を示さなかった。4.子宮内の着床位置として, 卵巣に最も近い部位の雄胎胞および雄胎児の平均重量は, それ以外に位置するものに比べて軽かった。また, 卵巣に最も近い位置は, 一腹胎児の中で, 最も軽い胎児が占める傾向がみうけられた。5.両側が雄に隣接する雄胎胞, 雄胎児および雌胎胞は, 雄は隣接していないものに比べ, 有意に重かった。6.吸収胎児の隣接により, 胎胞および胎児重量は重くなる傾向がみうけられた。以上の成績から, 胎児の子宮内での性, 数, 着床位置および隣接胎児が, ラットの胎胞および胎児重量に対して大きく関与していることが示唆された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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