1989 年 38 巻 1 号 p. 47-54
本研究は, 選抜育種および計測形態学的な手法による遺伝的モニタリング法に関する基礎資料を得るためにニホンウズラの8週齢時における雄体重, 筋肉重, 骨格形質の遺伝率, 表型相関, 遺伝相関について検討したものである。材料は221羽の雄ヒナを用いた。検討した形質は体重, 筋肉重および4種類の骨格形質 (骨格重, 骨格長, 骨格幅, 骨格高) である。遺伝率は, 体重では0.67, 筋肉重では0.36~0.56, 骨格重では0.79~0.94, 骨格長では0.35~0.77, 骨格幅では0.17~0.32, 骨格高では0.41~0.84の値がみとめられた。表型相関, 遺伝相関は, 体重と筋肉重, 骨格長との間に高い正の相関のあることが認められた。また, 大腿骨長, 下腿骨長, 中足骨長の間には高い正の遺伝相関値がみられた。以上の結果から, 体重, 筋肉重, 骨格長は選抜育種によって改良されることが示された。また, 遺伝的に明らかにされた骨格形質はニホンウズラ系統の同定や遺伝的モニタリングに役立つことが示唆された。