抄録
ふたつの異なる飼育条件で育成されたメス・カニクイザルの血液学的および血清生化学的測定値を比較した。飼育条件のひとつは, ほぼ同年齢の4頭の離乳後の仔ザルを小型ケージで飼育, 他方は1頭の成熟雄と複数の成熟雌とを大型ケージで飼育し, そこで生まれた仔ザルを同じケージでそのまま飼育した。ただし, 雄の仔ザルは性成熟前にそのケージから分離した。このような条件下で育成された1歳齢から5歳齢に至るメスザルの血液・血清生化学値 (13項目) について, 正準判別分析法の適用によって検討を加えた。その結果, 第2正準変量 (Z2) で飼育条件の違いにともなう血液・血清生化学値の差を検出することができた。飼育条件のちがいを検出するのに有効な測定項目は, ヘマトクリット値, ヘモグロビン濃度, アルブミン濃度, アルブミン・グロブリン比およびカルシウム濃度であった。測定値を総合的に判断して, 若齢時 (1・2歳齢) には飼育条件の相違による影響は大きいものの, 5歳齢ではその影響はほとんど無くなると判断した。