抄録
実験用リスザルの体重管理の方法について検討を加えた。まず80頭の動物を用いて出生時から離乳直前 (12週齢) まで, 毎週1回の体重測定を実施した。リスザルの出生時体重は, 雄104±11g, 雌104±12gであった。そして, 12週齢時には雄250±33g, 雌235±35gに達した。個体毎にこの間の体重変化に一次回帰式 (Y=a+bx) を適用した。この式の適合度は, 雌雄とも充分に満足されるものであった。式より得られた成長速度のパラメーター (b) の値には, 性差は認められず, その分布には正規性からの隔たりは検出されなかった。そこで, 出生時体重とb値から成長速度の劣る10パーセンタイルの個体を検出する方法を工夫し, 下部管理限界線 (LCL) を設定した。このLCLをもとに, 成長速度の劣る個体については, 体重測定および保定検診を毎週実施 (計13回) することとし, 正常な体重成長を示していると判断された個体については, 4, 5, 7, 8, 10, 11週目の測定および検診を省略し, 計7回だけ測定することにした。このような省力化をおこなっても, 体重成長のモニターの程度には, 省力化をおこなわなかった場合と比べて有意な差は無いことが確認された。そして, 測定および検診の頻度の約42%を減少させることができるものと期待された。そこで, 別の個体の体重管理で, 再度この省力化の妥当性を検討し, この方法の有効性が実証され, 乳幼仔期リスザルの合理的な体重管理が達成された。