抄録
当社開発研究所 (東京都) で, 繁殖, 維持してきた日本白色種ウサギ (Csk: JW) コロニーの繁殖集団 (気管支敗血症菌, Bordetella bronchiseptica陽性) を当社安全性研究施設 (長野県伊那) に移動するにあたり, 胚移植法によるクリーニングを試みた。胚提供雌 (Csk: JW) 8例 (13~23カ月齢) にPMsG40i.u.およびhCG100i.u.を72時間間隔で, それぞれ静脈内投与して過排卵処理を施し, hCG投与後直ちに雄と交配させた。交配後48時間に, 卵管灌流法により採取した8細胞期~桑実胚を10%FCS加HamF10培地内に移し, 術者の体温で保温して約4時間かけて輸送した。移植は, あらかじめ胚提供雌の交配日に合わせてhCG100i.u.の静脈内投与により, 偽妊娠を誘起しておいた受容雌の卵管采より, 片側卵管あたり7個の胚を注入した。尚, 採卵から移植までは約8時間を要した。また, 卵管灌流液, 胚洗浄液および得られた産仔については細菌検査を行い, 病原性菌の分離を試みた。平均回収卵子数は8.6個 (0~29個) で, 形態的に正常な62個の8細脚期~桑実胚が得られた。このうち56個の胚を5例の受容雌に移植した結果, 3例が妊娠して10例の産仔が得られ, うち6例 (雌: 雄=1: 5) が離乳に至った。細菌検査の結果では, いずれの試料からも病原性菌は分離されず, クリーニング作業への胚移植法の応用が有効であることを示唆する成績が得られた。