Experimental Animals
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実験的ウズラ動脈硬化症における電顕および組織化学的観察
山本 硬治井川 武洋
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1991 年 40 巻 2 号 p. 173-182

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抄録
日本ウズラの実験的動脈硬化症における内膜肥厚部位の電顕的, 免疫組織化学的検索によって, 次のような結果と考察を得た。1) 生後9週令の日本ウズラに2%コレステロール含有食を8週間自由摂食させると, 上行大動脈の一部に内膜肥厚が生じた。2) 上行大動脈の中膜は平滑筋細胞とmyofibroblast様細胞 (MF様細胞) が交互に層板を形成する特徴ある構造を示した。ウズラの平滑筋細胞の細胞骨格成分は哺乳類の平滑筋細胞と異なり, 逆に, ウズラのMF様細胞は哺乳類の平滑筋細胞と近似した組成を持つことが示唆され, ウズラの平滑筋細胞とMF様細胞の間で生理学的機能に違いがあると推察された。3) 動脈硬化発症時には主としてMF様細胞が中膜から内膜深部に移動し, そこで分裂・増殖する。さらに増殖した細胞は内膜の泡沫細胞や新生毛細血管の内皮細胞に転化するものと示唆された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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