Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
40 巻, 2 号
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • ―雌雄体重差が繁殖成績に及ぼす影響―
    石川 明, 山縣 高宏, 並河 鷹夫
    1991 年40 巻2 号 p. 145-152
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    バングラデシュ産大型スンクス (Suncus murinus) を起源とするBAN系統と長崎産小型スンクスを起源とするNAG系統間で交配実験を行った。12個体のBAN雌 (平均体重87.9g) と11個体のNAG雄 (52.3g) 間で合計16回の交配を試みたところ, BAN雌のNAG雄に対する激しい攻撃行動が観察された。交配期間中, BAN雌はケージ内に備え付けられた巣箱の中にとどまっていたが, NAG雄は巣箱の外にとどまっていた。交配終了後約16日目に触診による妊娠鑑定を行ったが妊娠雌は1個体も発見されなかった。一方, 8個体のNAG雌 (34.2g) と6個体のBAN雄 (145.9g) 間での合計11回の交配のうち6回から合計雌8, 雄8個体のF1雑種を得ることができた。得られたF1雑種は雌雄共にほぼ正常な生存・繁殖能力を示した。また, F1, F2, 戻し交配世代には, 外部形態, 行動などの異常は観察されなかった。F1, F2と両親系統を用いた種々の交配において, 雌の体重が雄の体重とほぼ同じか, 軽い場合に限り仔孫が得られた。一般に, スンクスの成体体重には, 雄43.5gから147.3g, 雌26.0gから82.0gの地理的変異が報告されているが, 雄の体重は雌の体重よりも約1.7倍重い。したがって, 雌雄の体重差が交尾排卵動物であるスンクスの交尾の成立に強い影響を与えていることが示唆された。
  • 板垣 慎一, ペトゥルチェリ ミゲル A., 土井 邦雄
    1991 年40 巻2 号 p. 153-160
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    正常スナネズミ胆管系を組織化学的に検索した。胆管と胆嚢の上皮細胞の腔側細胞膜および細胞膜下の細胞質は, 過ヨウ素酸シッフ (PAS) , アルシアン・ブルーpH2.5 (AB) および高鉄ジアミンAB染色に陽性を呈し, 核上部にPAS弱陽性顆粒状物質が認められた。レクチン組織化学的には、本細胞は, Concanaualia ensiformis (Con A) , Dolichos biflorus (DBA) , Glycine max (SBA) , Ulex europeas-I (UEA-I) およびTriticum vulgarus (WGA) に対する結合部位を有していた。一方, 胆管周囲腺の上皮細胞は上記のいずれの染色に対しても陰性であった。以上の光顕的検索結果ならびに過ヨウ素酸メセナミン銀およびレクチン (DBA, WGA) を用いた電顕的検索結果から, 正常スナネズミの胆管系では胆管および胆嚢の上皮細胞が末端シアル酸・硫酸基を持つムチンを分泌しており, このムチンのレクチン組織化学的性状は, マウスやラットの胆管周囲腺の上皮細胞から分泌されるムチンのそれと同様であることが示唆された。
  • 赤羽 一美, 古濱 和久, 加藤 道幸, 高山 敏
    1991 年40 巻2 号 p. 161-165
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マイクロ波を利用した電子レンジ (東芝, ER-1345JF型) を用いてラット凍結保存血清の融解条件の検討を行い, 以下の成績を得た。1) 各血液生化学値 (26項目) に影響を与えず融解するには融解温度を37℃以下にする必要があった。2) 電子レンジ (200W) 融解の場合, 自作した試料台を用いれば再現性の良い融解条件が得られた。即ち回転皿の中心から10~12cmの位置で, 0.5mlの-20℃凍結サンプル1~80本を1分45秒照射すれば, 融解温度は10~20℃となり, 血液生化学値は加温による影響を受けなかった。3) 上記の方法で融解した各血液生化学値は, 温水融解 (37℃) による値と高い相関性を示し再現性もよかった。4) 以上の成績からマイクロ波による凍結血清融解は多数の検体を用いることの多い安全性試験等で有用であると結論した。
  • 山越 純, 大下 克典, 高橋 令治
    1991 年40 巻2 号 p. 167-172
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    二腎性Goldblatt型高血圧ラットの急性期における臨床および病理的検討を行った。その結果, 本ラットの腎動脈狭窄処置7日目で, すでに収縮期血圧, 血漿レニン活性および血漿アルドステロンの値の上昇が観察された。同時に, 腎動脈狭窄腎のJuxtaglomerular cell count (JGCC) 値の上昇が観察され, これら値の上昇する時期は一致していた。また, 実験期間の経過に伴い本ラットの収縮期血圧および血漿レニン活性の値は順次上昇を示した。これら値の上昇に伴って腎動脈狭窄腎のJuxtaglomerular index (JGI) 値およびJGCC値の順次上昇と, 腎動脈非狭窄腎のJGI値の順次低下が観察された。これらの値の変化は連動して生じた。以上のことより, 本ラットの急性期における高血圧発症に糸球体傍細胞の役割が重要であると考えた。
  • 山本 硬治, 井川 武洋
    1991 年40 巻2 号 p. 173-182
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    日本ウズラの実験的動脈硬化症における内膜肥厚部位の電顕的, 免疫組織化学的検索によって, 次のような結果と考察を得た。1) 生後9週令の日本ウズラに2%コレステロール含有食を8週間自由摂食させると, 上行大動脈の一部に内膜肥厚が生じた。2) 上行大動脈の中膜は平滑筋細胞とmyofibroblast様細胞 (MF様細胞) が交互に層板を形成する特徴ある構造を示した。ウズラの平滑筋細胞の細胞骨格成分は哺乳類の平滑筋細胞と異なり, 逆に, ウズラのMF様細胞は哺乳類の平滑筋細胞と近似した組成を持つことが示唆され, ウズラの平滑筋細胞とMF様細胞の間で生理学的機能に違いがあると推察された。3) 動脈硬化発症時には主としてMF様細胞が中膜から内膜深部に移動し, そこで分裂・増殖する。さらに増殖した細胞は内膜の泡沫細胞や新生毛細血管の内皮細胞に転化するものと示唆された。
  • 御船 弘治, 鈴木 秀作, 野田 安孝, 毛利 資郎, 望月 公子
    1991 年40 巻2 号 p. 183-193
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウス, ラット及びスナネズミの心房ならびに心室筋細胞を免疫組織化学的に, 右側の心房及び心耳筋細胞を透過電子顕微鏡で観察し, さらにこれら細胞のANP顆粒を形態計測により解析した。免疫組織化学的には3種の動物種共に, 心房にANP陽性細胞がみられ, なかでも右側の心耳が最も強く反応した。これらの反応はスナネズミよりマウス・ラットの方が, より顕著であった。一方, 心室筋にはいずれの動物種共に, ANP陽性細胞は認められなかったが, 時に心室中隔の心内膜下に陽性細胞が存在した。電顕的には3動物種の心房筋ならびに心耳筋細胞は種々の大きさのANP顆粒を有し, その数も様々で, それらの顆粒はおもに核周囲のゴルジ野にみられ, 筋原線維間にも少数存在した。これらの顆粒は2種類に分類でき, A顆粒は限界膜を有する電子密度の高い均質無構造の顆粒で, B顆粒は限界膜が不明瞭でA顆粒に比べ電子密度が低い微細線維粒状の顆粒であった。形態計測的に右側の心耳筋ならびに心房筋細胞のA, B顆粒の数および両顆粒の数は, スナネズミに比ベマウス, ラットが有意に多かった。3動物種において, 両顆粒の数は心房筋よりも心耳筋細胞に有意に多かったが, A顆粒とB顆粒の数においては有意差はみられなかった。A, B顆粒の大きさは, 心耳筋, 心房筋細胞共にスナネズミに比べマウス, ラットが有意に大きく, また, A顆粒がB顆粒に比べ, いずれの動物種共に有意に大きかった。
  • 三上 博輝, 西端 良治, 河本 泰生, 猪 貴義
    1991 年40 巻2 号 p. 195-202
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    著者らは気管支喘息モデル動物として, 気道過敏およびその対照として気道非過敏を有するモルモット二系統を開発した。アセチルコリンおよびヒスタミン暴露に対する気道反応性を指標とし, 過去4年間, Hartley系由来のモルモットを気道過敏系および非過敏系として二方向に選抜し, 現在までに両系はF6世代に達した。これらモルモットの選抜育種から以下の結果を得た。1) 気道過敏系および非過敏系ともに, 兄妹 (full and halfsib) , いとこを含む遺伝的に血縁関係にある個体選抜による交配法を採用した。選抜開始時の6家系はF6世代では2家系となった。2) アセチルコリンおよびヒスタミンに対する気道過敏系および非過敏系の出現率は世代とともに高くなり, F6世代において100%となった。3) 近交係数についてF6世代で検討した結果, 気道過敏系では42-45%および非過敏系では42%であった。4) アセチルコリンに対する両系の実現遺伝率 (h2) は, 気道過敏系で0.45および非過敏系で0.69の値が推定された。5) 気道過敏系の雌雄における生後0, 20および40日齢体重は各世代ごとに変化は観察されなかった。他方, 非過敏系の雌雄の出産時体重に差を認めなかったが, 雌雄の生後20および40日齢体重において, 各世代ごとに減少傾向が認められた。6) F1からF6世代までにおける, 両系の世代ごとの一腹産仔数は気道過敏系で2.24-3.47匹の範囲内であり, 非過敏系で2.63-3.38匹の範囲内を示した。また, 生後40日齢までのF1からF6世代の死亡率は気道過敏系で21.4-37.5%, 非過敏系で14.3-36.5%であった。
  • 古舘 専一
    1991 年40 巻2 号 p. 203-208
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    偽妊娠誘起直後に卵巣摘出されたラットのプロラクチン (PRL) 並びにLH, FSH分泌のフィードバック機構に及ぼすエストラジオールの影響について検討された。次の4つの実験群が用意された。1) 対照としての正常偽妊娠群 (PSP) , 2) 偽妊娠0日目に卵巣摘出された群 (OVX) , 3) OVX群のday 1~4日間エストラジオール含有サイラステックチューブが埋没された群 (OVXE 1-4) , 4) 同様に, OVX群のday 5~8日間エストラジオール含有サイラステックチューブが埋没された群 (OVX-E 5-8) 。OVX群では, PSP群に比べて低値であるが, 調べたday4, 8, 12日の5時に明瞭なノクターナルPRLサージがみられ, 同時に, LH, FSH分泌の顕著な増加がみられた。OVX-E1-4群では, day 4のノクターナルPRLサージはOVX群に比べて抑制され, その一旦抑制されたPRLはエストラジオールチューブが除去されて4日間経過したday 8においても回復しなかった。また, この群においてはday 4の17時にLHサージを伴うPRLサージがみられた。OVX-E5-8群では, day 8のPRL分泌抑制, day 12のPRL分泌抑制の持続, day 8の17時のPRLI, LHサージがより顕著になった。以上から次の事が結論された。1) 偽妊娠のノクターナルPRLサージは卵巣の支持なしに少なくとも12日間存在する, 2) 偽妊娠のPRL分泌は卵巣摘出に伴うLH, FSHの分泌とは無関係である, 3) 偽妊娠誘起直後に卵巣摘出した場合にはエストラジオールは偽妊娠の初期および中期のノクターナルPRLサージを抑制し、更に, その抑制されたPRLサージは, エストラジオールチューブ除去後においても回復しない, 4) エストラジオールは性周期と類似のLHサージを伴うPRLサージをもたらす。
  • 森山 俊朗, 茶山 和敏, 松沢 昭雄
    1991 年40 巻2 号 p. 209-214
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1匹の白内障雌DDD/1-nu/+マウスを見いだし, 兄妹交配の反復により, 白内障発生率100%の有毛ミュータント系を樹立した。DDD/1とのF1, F2および戻し交配集団での白内障個体の分離状態から, 白内障が常染色体上の単一の不完全優性遺伝子の支配下にあると結論し, この遺伝子をCtiと命名した。DDD/1-Cti/Ctiマウスでは, 胎生期にレンズの白濁が始まり, 開眼時 (13~14日齢) に白内障と認知され, 28~42日齢には成熟白内障を呈したが, 56日齢後には白濁が軽減し, 140日齢では中心部に白濁点を残すのみとなった。DDD/1-Cti/+は発症が遅く, 28日齢以後に白内障と認知され, 35日齢には成熟白内障となったが, 42日齢には白濁が軽減し始め, 56日齢では肉眼的に正常に見えた。Cti/Ctiでは眼球およびレンズの成長が正常に比べ, わずかに遅れたが, 小眼球症を伴わなかった。Cti/CtiCti/+の両方で, レンズの白濁が強い時期に一致して, レンズの含水量が高かった。DDD/1-Cti/CtiとA/JとのF1ではDDD/1-Cti/+と同じ経過で白内障が起こり, BALB/cとのF1では肉眼的白内障が約10%で起こったのみで, ヘテロ状態のCtiの発現が背景遺伝子の影響を受けた。DDD/1-Cti/+はレンズ白濁軽減のモデル動物として白内障研究に有用と思われる。
  • 清水 利行, 吉田 高志, 長 文昭, 後藤 信男
    1991 年40 巻2 号 p. 215-221
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    筑波医学実験用霊長類センターにおいて, ケージ内繁殖, 育成方式によって出生したカニクイザルについて, 出生時から9歳齢までの異なる多数の個体 (雌94頭, 雄82頭) を用い, 形態学的成長について解析を行った。計測は出生時, 生後6週, 生後12週, 1歳齢, 3歳齢, 5歳齢, 7歳齢, 9歳齢について, 頭部, 体幹部ならびに四肢の長さに係わる14項目で行った。次いで, 計測値に主成分分析法及び多変量アロメトリー法を適用し, カニクイザルの出生から9歳齢までの成長特性の総合的な解析を試みた。主成分分析の結果, 第1主成分 (PC1) と第2主成分 (PC2) との累積寄与率は99.0%に達した。各主成分の固有ベクトルにおける計測項目の係数の値から, PC1は大きさに係わる因子と, 出生から3歳齢に至る雌雄に共通する体型, すなわち, 四肢の長さに対する体幹部の優成長に関する因子を抽出し, PC2は3歳齢以降の体型における雌雄差に係わる因子, すなわち, 雌での四肢の長さに対する体幹部の優成長を, 雄では体幹部に対する四肢の優成長を抽出したものと判断される。さらに, 多変量アロメトリー法の適用により, 体幹部に係わる計測項目における優成長と, 頭部, 四肢に係わる項目での劣成長とについて実証することができた。
  • 石川 明, 並河 鷹夫
    1991 年40 巻2 号 p. 223-230
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は, 以前に, バングラデシュ産大型スンクス (Suncus nurinus) を起源とするBAN系統と長崎産小型スンクスを起源とするNAG系統間の出生後における体重成長を比較し, 両系統間の120日齢成体体重差 (BAN雄135.3g, 雌82.0g; NAG雄52.9g, 雌34.2g) の主因がBAN系統のNAG系統よりも約2.5倍長い直線体重増加期間およびこの期間の約1.5倍大きい成長速度によることを報告した。そこで, 両系統間から得られたF1雑種の生後5日齢から120日齢までの体重成長を調査し, 上述した両親系統のそれらと比較した。これらスンクスの成長曲線として, 一次回帰直線と一分子反応曲線を組み合わせたものを用いた。F1雑種の成長曲線は雌雄共に両親系統のおよそ中間に位置し, 120日齢平均成体体重は雄86.0g, 雌51.7gであった。F1雑種の成長期間は両親系統のそれとほぼ一致し, 雄約60日間, 雌約40日間であった。しかし, F1雑種の直線体重増加期間 (雄29.8日間, 雌19.0日間) は雌雄共に両親系統のおよそ中間 (BAN雄33.4日間, 雌26.1日間; NAG雄18.8日間, 雌13.9日間) であった。同様に, F1雑種の直線体重増加期間における成長速度 (雄2.1g/day, 雌1.8g/day) も両親系統のおよそ中間 (BAN雄3.2g/day, 雌2.2g/day; NAG雄1.6g/day, 雌1.5g/day) あった。F1雑種と両親系統における合計6つの雌雄別群のうち4群において, この成長速度と体重成長曲線の極大値との間に正の相関関係がみられた。したがって, 直線体重増加期間およびこの期間における成長速度がスンクスの成長パターンの遺伝的差異を表していることは明らかである。
  • 後藤 一雄, 伊藤 豊志雄, 高倉 彰, 国田 智, 寺田 英司, 鍵山 直子
    1991 年40 巻2 号 p. 231-233
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1985年から1990年の間に得られたウサギ生産施設6コロニー由来のウサギ血清372検体および実験施設9コロニー由来のウサギ血清172検体について, 酵素抗体法および間接蛍光抗体法を用いてTyzzer菌 (Bacillus piliformis) に対する抗体保有調査を行った。生産施設においては3/6 (50.0%) コロニー, 53/372 (14.2%) の血清が抗体陽性を示した。一方, 実験施設では6/9 (66.7%) コロニー30/172 (17.4%) の血清が抗体陽性を示し, 最近の, わが国の実験用ウサギコロニーにおけるTyzzer菌汚染が認められた。また, 酵素抗体法と間接蛍光抗体法において得られた成績を比較したところ, 一致率は527/544 (96.9%) を示し, 抗体価も高い相関を示した (r=0.86, P<0.01) 。
  • 東條 英昭, 久保 政美
    1991 年40 巻2 号 p. 235-238
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    微量の血液を試料として, PCRによる迅速なトランスジェニック (Tg) マウスの検出法を検討した。ヒトAγ/β一グロビソ遺伝子 (8.9kb, 13および53コピー) を持つTgマウスの後肢静脈を穿刺または尾部の先端を切断する手段により, 凝固防止血液を10~50μl採取し, 200μlの白血球分離用溶液と混合したのち, 40分間静置した。ついで, 上澄液中の血球を用いて, DNAの抽出およびPCRを行い, 増幅DNAをアガロースミニゲルの電気泳動によって検出した。その結果, 血液10~20μlを血球分離に供し, その上澄液10~20μl中の血球を洗浄して解析に供した場合に, 特異DNAバンドが常に検出された。
  • 御船 弘治, 鈴木 秀作, 野田 安孝, 織田 銑一, 望月 公子
    1991 年40 巻2 号 p. 239-244
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スンクスの心房ならびに心室筋細胞を免疫組織化学的に, 右側の心耳及び心耳を除く心房筋細胞を透過電子顕微鏡で観察し, さらにこれらの細胞の心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 顆粒を形態計測により解析した。免疫組織化学的に, 心房にANP陽性細胞がみられ, なかでも右側の心耳が最も強く反応した。一方, 心室筋にはANP陽性細胞は認められなかった。電顕的に心耳を含む心房筋細胞の多くは, ANP顆粒, 良く発達したゴルジ装置及び粗面小胞体を有し, 核は他の多くの哺乳動物と異なり細胞質の辺縁に位置し特徴的であった。ANP顆粒は2種類に分類でき (A, B顆粒) , 核周囲のゴルジ野に最も多くみられ, 筋原線維間にも小数存在した。形態計測的にA, B両顆粒の数は, 心房筋よりも心耳筋細胞が有意に多く, A顆粒がB顆粒に比べ有意に大きかった。
  • 森本 純司, 今井 俊介, 芳賀 敏実, 谷口 雄三, 日浅 義雄, 宮下 信泉, 森脇 和郎
    1991 年40 巻2 号 p. 245-249
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中国産野生マウスM. m. musculus Sub-Jyg (JYGマウス) に高率に発生する乳癌の特性, 特に諸臓器への高率な転移能について報告した。兄妹交配18代での乳癌発生率並びに発癌月齢は89%, 約9ヵ月であった。検索した乳癌19例はいずれも髄様腺管癌または乳頭状腺管癌 (面疱癌) の組織像を呈し, 核分裂像も著明で形態学的に非常に悪性度が高かった。19例中10例 (53%) で肺に, 4例 (21%) で肝臓に, 3例 (16%) で脾臓に乳癌の転移が見られた。また, 種々の臓器に多量の乳癌ウイルス抗原 (MMTVgp52) ならびにMMTV粒子の発現が認められた。乳癌の転移実験にC3H系マウスがよく用いられているが, JYGマウスのような肺転移のみならず, 肝臓, 脾臓にも転移巣が認められる例は少なく, JYGマウスが新たな乳癌の転移モデルとして有用である可能性が示唆された。
  • ―最初の孵化例―
    三浦 克洋, 末吉 益雄, 神部 昌行, 岡 基
    1991 年40 巻2 号 p. 251-254
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    卵殻から取り出した鶏胚を培養する手法の開発のためアヒル卵殻 (DES) を用いた培養を行った。3日間孵卵した鶏受精卵35個の全内容をDESに移し替え, 通気性を保ちながら, 温度37.6℃, 湿度65%, 無転卵で孵卵を行った。無卵殻対照として, 37個の3日齢鶏胚をポリエチレンフィルムの容器で培養した。DESで培養した鶏胚は, 移し替え4日後まで14個体が死亡したが, 21個体が孵卵16日 (移し替え13日後) まで発育を続け, 孵卵22日後に, 3羽のヒナが孵化した。うち, 2羽 (雄) は, 6ヶ月間正常に成長し, 受精能力のある精子を産生した。これに対し, ポリエチレン容器で培養した鶏胚は, 孵卵18日までに全て発育を中止した。アヒル卵殻を用いる鶏胚の培養法は, 生存率・孵化率の向上が図られれば, 毒性物質の評価や, 遺伝子導入後の胚の培養に利用し得るものと思われる。
  • 神山 恒夫, 斎藤 学, 中川 雅郎
    1991 年40 巻2 号 p. 255-257
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ddYマウスの脾臓のナチュラルキラー細胞とマクロファージの活性におよぼすM.pulmonisの噴霧感染および二酸化チッ素暴露の影響を調べた。その結果, いずれの活性とも, M pulmonis感染および一週間の二酸化チッ素に暴露 (10ppm) によって著明に上昇することが示された。また, 感染マウスのマクロファージ活性は二酸化チッ素暴露によってさらに上昇したが, ナチュラルキラー細胞活性に対してはこのような相乗効果は認められなかった。
  • 黒沢 重利, 小倉 淳郎, 小浦 美奈子, 野口 章, 野口 洋子, 山本 美江, 高野 薫
    1991 年40 巻2 号 p. 259-261
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    国立予防衛生研究所で発見され, 近交化された貧毛 (PC) マウスの皮膚組織および毛の構造を光学顕微鏡的に観察した。皮膚組織, 毛包の毛根鞘および脂腺の構造は正常であった。一方, 毛球部は, 毛周期の成長期における発達が悪く, 毛乳頭の入り込みも悪かった。毛は短くて細く, 毛髄質の形成が貧弱であった。毛小皮は形成されていた。このマウスの貧毛の原因は, 特に成長期における, 毛母基細胞の分化あるいは増殖の異常であることが示唆された。
  • 実験動物系統ワーキンググループ
    1991 年40 巻2 号 p. 263-277
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • (社) 日本実験動物協会
    1991 年40 巻2 号 p. 279-287
    発行日: 1991/04/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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