Experimental Animals
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偽妊娠ラットにおけるプロラクチン・サージ並びにゴナドトロピン分泌のフイードバック機構におよぼすエストラジオールの影響
古舘 専一
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1991 年 40 巻 2 号 p. 203-208

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抄録
偽妊娠誘起直後に卵巣摘出されたラットのプロラクチン (PRL) 並びにLH, FSH分泌のフィードバック機構に及ぼすエストラジオールの影響について検討された。次の4つの実験群が用意された。1) 対照としての正常偽妊娠群 (PSP) , 2) 偽妊娠0日目に卵巣摘出された群 (OVX) , 3) OVX群のday 1~4日間エストラジオール含有サイラステックチューブが埋没された群 (OVXE 1-4) , 4) 同様に, OVX群のday 5~8日間エストラジオール含有サイラステックチューブが埋没された群 (OVX-E 5-8) 。OVX群では, PSP群に比べて低値であるが, 調べたday4, 8, 12日の5時に明瞭なノクターナルPRLサージがみられ, 同時に, LH, FSH分泌の顕著な増加がみられた。OVX-E1-4群では, day 4のノクターナルPRLサージはOVX群に比べて抑制され, その一旦抑制されたPRLはエストラジオールチューブが除去されて4日間経過したday 8においても回復しなかった。また, この群においてはday 4の17時にLHサージを伴うPRLサージがみられた。OVX-E5-8群では, day 8のPRL分泌抑制, day 12のPRL分泌抑制の持続, day 8の17時のPRLI, LHサージがより顕著になった。以上から次の事が結論された。1) 偽妊娠のノクターナルPRLサージは卵巣の支持なしに少なくとも12日間存在する, 2) 偽妊娠のPRL分泌は卵巣摘出に伴うLH, FSHの分泌とは無関係である, 3) 偽妊娠誘起直後に卵巣摘出した場合にはエストラジオールは偽妊娠の初期および中期のノクターナルPRLサージを抑制し、更に, その抑制されたPRLサージは, エストラジオールチューブ除去後においても回復しない, 4) エストラジオールは性周期と類似のLHサージを伴うPRLサージをもたらす。
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© 社団法人日本実験動物学会
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