Experimental Animals
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ラットウイルス新分離株の新生仔および若齢ラットに対する病原性
八神 健一深澤 富長杉山 芳宏藤井 敬二
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1991 年 40 巻 3 号 p. 349-356

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抄録

ラットウイルス新分離株 (UT-1株) の新生仔および若齢ラットに対する病原性を検討した。本ウイルスを脳内接種した新生仔 (2日齢) ラットは, 削痩, 発育不良, 下痢, 脱水, 黄疸を伴う全身感染を起こし, 13~15日後に死亡した。腹腔内接種した新生仔の症状は, それより軽度で死亡例も少なかった。いずれの経路から感染した新生仔も著明なウイルス血症を起こし, 全身の諸臓器からウイルスが回収された。病理組織学的には, 肝臓に肝細胞の空胞化, 壊死が広範囲に認められ, 小脳, 腎臓, 脾臓にも軽度の病変を認めた。ウイルス抗原は全身の諸臓器に認められたが, その分布は病変部とは必ずしも一致しなかった。若齢 (6週齢) ラットでは, 脳内および腹腔内のいずれの経路から接種した場合でも全く症状を示さず, 組織学的な変化も認められなかったが, 肺, 脾臓, 腎臓から少量のウイルスが回収され, 抗体の産生も認められた。これらのことから, ラットウイルスUT-1株は新生仔ラットに肝病変を伴う致死性感染を起こし, 若齢ラットには不顕性感染を起こすことが明らかになった。

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© 社団法人日本実験動物学会
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