Experimental Animals
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ニホンウズラに見いだされた致死性突然変異“stumpy limb”の特徴および遺伝分析
都築 政起若杉 昇森岡 宏至江崎 孝三郎
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1991 年 40 巻 4 号 p. 529-536

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抄録

ニホンウズラの“stumpy limb”ミュータントは孵化直前の完全致死性を示し, その特徴は次のようであった。 (1) 短頭症を呈し, 頚部が正常なものより肥厚していた。 (2) 上嘴の上縁部の湾曲が正常個体よりも強度であるため, いわゆる“parrot beak”様の外観を呈したが極端なものではなく軽度のものであった。 (3) 翼および脚が正常個体に比べ短く太かった。 (4) 翼および脚の骨, すなわち, 上腕骨, 橈骨, 尺骨, 手根中手骨, 大腿骨, 脛骨, 足根中足骨, および足指骨が正常なものに比べ短く太かったが, この異常は翼よりも脚の骨においてより顕著であった。指骨の異常はほとんどみられなかった。遺伝分析の結果, 本突然変異は常染色体性の単一劣性遺伝子によって支配されていることが判明し, この突然変異遺伝子に対し遺伝子記号slを提唱した。本ミュータントは骨形成研究のための実験動物として有用であり, また, その異常形態がヒトの疾患「骨形成不全症皿型」に極めて良く似ているので, この疾患の動物モデルとなり得る可能性がある。

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© 社団法人日本実験動物学会
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