Experimental Animals
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WBN/Kobラットの糖尿発症に及ぼす性ホルモンの影響
三枝 雅昆 弘志土谷 稔奈良間 功
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1992 年 41 巻 4 号 p. 481-489

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抄録
WBN/Kobラットの糖尿病発症に及ぼす性ホルモンの影響を検討するため性腺摘出に加え, 雌雄に性ホルモンを投与し, 尿糖の発症, 体重推移, 耐糖能ならびに病理組織学的所見を無処置対照群のそれと比較した。その結果, 雌無処置群および雄エストロジェン投与群では異常はなかったが, 雄の無処置群では約30週齢, 精巣摘出群で52週齢, 雌のテストステロン投与群で55週齢, 卵巣摘出群で72週齢より尿糖排泄がみられはじめた。また, それに先立ち, これらの群では耐糖能の低下が認められた。雄の体重では対照群に比べて精巣摘出, エストロジエン投与群の順に顕著な低値を示し, 雌では対照群に対し, 卵巣摘出, テストステロン投与群の順に顕著な高値を示した。膵臓の組織学的検査では, 精巣摘出群, 卵巣摘出群およびテストステロン投与群で基本的にWBN/Kob雄ラットと同質の変化 (外分泌腺組織の萎縮および膵島の萎縮・消失) が認められたが, 雌の対照群および雄のエストロジェン投与群ではこれらの変化はなかった。WBN/Kobラットの尿糖排泄を伴う高血糖発症には雌性ホルモンが抑制的に作用していること, また, 雄性ホルモンがその発症を促進していることが示唆された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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