抄録
胎児期から離乳前におけるWistar-Imamichi系ラットの腎臓を材料に, レニン陽性細胞の出現部位, 出現時期などを免疫細胞化学的並びに形態計測学的に検討した。レニン陽性反応は, 腹大動脈, 腎動脈腎臓内の葉間動脈, 弓状動脈, 小葉間動脈, 小葉内動脈輸入細動脈の動脈壁の構成細胞に認められた。腎臓内のレニン陽性細胞の局在部位は, 発生が進むにつれて管径の太い動脈から管径の細い動脈へと移行し, 最終的に輸入細動脈に収斂した。輸入細動脈では成熟した糸球体の細動脈にのみレニン陽性細胞が認められた。成熟糸球体は胎齢17日に初めて認められ, レニン陽性細胞は胎齢18日に輸入細動脈壁に出現した。成熟糸球体とレニン陽性細胞の関係を示す傍糸球体指数は胎齢20日まで急激に上昇し, その後生後7日までほぼ一定のレベルで推移し, 生後7日から20日にかけてはやや上昇した。成熟糸球体数は, 胎齢17日から生後7日にかけてほぼ直線的に増加し, それ以降は一定の値を示したことより, 腎臓の単位面積当りの成熟糸球体数は生後7日をピークとして減少した。動脈壁に局在したレニン陽性細胞の微細構造は, 各部位の動脈において顕著な差異は認められなかった。