Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
新しく開発した強制換気マイクロアイソレーションシステムについて
―ケージ内の環境: 換気, 気流―
黒澤 努吉田 一也岡本 宗裕田島 優
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1993 年 42 巻 4 号 p. 547-554

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抄録

従来より実験動物飼育環境の重要性は指摘されていたが, 基準として示されたものはいずれも飼育室内環境であり実際の実験動物に直接影響を及ぼすケージ内部環境についての検討は少なかった。とくにケージ内気流に関する検討はほとんどなされていなかった。我々は実験動物飼育環境を改善し, とくに実験動物に快適な環境を提供し, かつより経済的な飼育を行うことを目的とした強制換気MISを開発した。このシステムは給排気系別々に設置した送風機と, 側板と棚板を給気ダクトとし背板を排気ダクトとするラック, 大型の給排気口を持つハードカバーおよびシューボックスタイプケージで構成されている。開発したシステムについて, ケージ内の気流を検討した結果, 本システムでは最適ケージ内換気回数は60回/hrと考えられた。この換気回数ではケージ内後部の水平気流速度は0.09m/sec以下となり, ヒトに対する室内気流速度の推奨値が小動物にも適用されると仮定すれば, その許容範囲内であった。新しく開発した強制換気MISは実験動物飼育に関して, ケージ内部環境を十分制御でき, 実験動物に快適環境を経済的に提供できるシステムであることが確認された。

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© 社団法人日本実験動物学会
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