Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
42 巻, 4 号
選択された号の論文の22件中1~22を表示しています
  • 天尾 弘実, 小向 由美, 杉山 公宏, 斎藤 徹, 高橋 和明, 斎藤 学
    1993 年 42 巻 4 号 p. 539-545
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ネズミコリネ菌の経口感染における, マウス系統間の感受性の差異を調べるために, 10系統の雌マウスに4×105.0CFUのネズミコリネ菌を経口感染させ, 感染4週目まで病変の有無, ネズミコリネ菌の定着性および凝集抗体を調べた。肉眼的病変はBALB/c-nu/nuで12/20匹 (60.0%) と他の9系統に比べ有意に多く観察され, また, CBA/Nで5/20匹 (25.0%) とBALB/cCr, C57BL/6Cr, B10.BR/SgSn, ddY系およびICR系に比べ有意に多かった。ネズミコリネ菌の定着性ではBALB/c-nu/nuが19/20匹 (95.0%) と最も高く, 次いでA/J15/20匹 (75.0%) , CBA/N13/20匹 (65.0%) , MPSとBALB/cCr11/20匹 (55.0%) , C3H/He6/20匹 (30.0%) の順であったが, C57BL/6Cr, B10.BR/SgSn, ddY系では15%以下と低率で, ICR系では菌分離個体は認められなかった。一方, 生存個体における凝集抗体の検出率は各系統とも2割以下と低率で, 系統間で差はなかった。これらの結果から, 雌マウスのネズミコリネ菌の経口感染における感受性には系統差が認められ, 本菌の定着性から判定すると, BALB/c-nu/nu, A/J, CBA/N, MPSおよびBALB/cCrでは感受性傾向に, C57BL/6Cr, B10.BR/SgSn, ddY系およびICR系では抵抗性傾向にあり, C3H/Heでは中間型であることが示唆された。また, BALB/c-nu/nuにネズミコリネ菌が感染すると重篤な疾病となることが伺えた。
  • ―ケージ内の環境: 換気, 気流―
    黒澤 努, 吉田 一也, 岡本 宗裕, 田島 優
    1993 年 42 巻 4 号 p. 547-554
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    従来より実験動物飼育環境の重要性は指摘されていたが, 基準として示されたものはいずれも飼育室内環境であり実際の実験動物に直接影響を及ぼすケージ内部環境についての検討は少なかった。とくにケージ内気流に関する検討はほとんどなされていなかった。我々は実験動物飼育環境を改善し, とくに実験動物に快適な環境を提供し, かつより経済的な飼育を行うことを目的とした強制換気MISを開発した。このシステムは給排気系別々に設置した送風機と, 側板と棚板を給気ダクトとし背板を排気ダクトとするラック, 大型の給排気口を持つハードカバーおよびシューボックスタイプケージで構成されている。開発したシステムについて, ケージ内の気流を検討した結果, 本システムでは最適ケージ内換気回数は60回/hrと考えられた。この換気回数ではケージ内後部の水平気流速度は0.09m/sec以下となり, ヒトに対する室内気流速度の推奨値が小動物にも適用されると仮定すれば, その許容範囲内であった。新しく開発した強制換気MISは実験動物飼育に関して, ケージ内部環境を十分制御でき, 実験動物に快適環境を経済的に提供できるシステムであることが確認された。
  • 内田 和美, 高橋 政壽, 永田 百合子, 木村 広子, 船橋 英行, 杉山 公宏
    1993 年 42 巻 4 号 p. 555-563
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    小型肥満マウス (C57BL/6J-ob/ob: Small-obマウス) におけるラ島A細胞の増加の時期を明らかにする目的で, 5, 13および21日齢のC57BL/6J-ob系マウスについて膵臓を病理組織学的に検査した。5日齢マウスでは対照動物 (C57BL/6J-+/+) との間に差異は認められなかった。13日齢マウスではラ島は光学顕微鏡的検査で対照動物とほぼ同様な組織所見のみられたマウス (正常マウス) , 一部のラ島に肥大して淡明化したB細胞を認めたマウス (Obマウス) およびA細胞の増加を認めたマウス (Sma11-obマウス) に分類された。電子顕微鏡的検査で淡明化したB細胞には小胞体の拡張傾向が認められた。A細胞の増加したラ島ではごくわずかにB細胞に脱顆粒と思われる空胞が対照動物より多く認められた。A細胞は正常な分泌顆粒に混じって不完全な分泌顆粒が認められ, 一部には粗面小胞体の発達が観察された。21日齢の非糖尿病Obマウスではラ島とB細胞の肥大が正常マウスより多くの例に認められた。糖尿病Obマウスではこれらの変化が著明であった他, 6匹中2匹の一部のラ島にA細胞の増加が認められた。Small-obマウスではラ島の肥大はなく, B細胞の肥大の程度は正常マウスと同様であった。しかし, 一部のラ島には糖尿病Obマウスより著明なA細胞の増加が認められた。これらのことから, Small-obマウスにおけるラ島の初期病変は6から12日齢の間で発現すると推察された。
  • 上田 乙也, 鈴木 宏志, 松岡 章夫, 杉山 修, 安達 二朗
    1993 年 42 巻 4 号 p. 565-570
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本試験では, 薬物の安全性試験, 特に雄に対する生殖発生毒性の評価系へのマウスの体外受精―培養―移植系の応用を試みた。DNA合成を阻害し, 抗癌作用をもつ白金錯化合物DWA 2114Rを被験物質とし, 10週齢の雄に75mg/kgを尾静脈内に単回投与した。投与後4, 5, 6週目に過排卵処理雌と行った自然交配の翌日に, 卵管膨大部より卵を回収して受精率を観察した。受精卵を96時間まで培養に供し, 24時間毎に着床前の初期発生過程の観察を行った。また, 培養24時間後に2細胞期まで発生した胚の一部を偽妊娠0日目の受容雌の卵管へ移植し, その17日後に帝王切開して着床率および胎児生存率を観察した。その結果, 投与後4~6週目の受精率はDWA投与群が, 対照群に比べて低下する傾向が認められた。また, 投与後4週目において胚盤胞への発生率, 着床率, 胎児生存率の低下が観察されたが, 5, 6週目の成績は良好であった。以上の成績より, 雄マウスに対するDWA2114Rの投与は, 成熟前の生殖細胞のDNAに異常を誘発し, これが成熟して受精に関わった場合には, 受精卵の着床前の初期発生における胚盤胞形成および着床後の発生に影響を及ぼすことが示唆された。受精卵の体外培養―移植系により, 着床前の初期発生過程の観察が可能となり, 従来の生殖発生毒性の評価系を補完する系として, 有効に利用し得ることが示唆された。しかしながら, 体外受精系の応用による受精に関わる詳細な検討には, 体外受精系の改良を含む条件検討が必要であると考えられた。
  • 大島 誠之助, 福間 義教, 鈴木 敏明, 阿部 又信
    1993 年 42 巻 4 号 p. 571-577
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験イヌ用非精製飼料のエネルギー推定法である計算式, 〔代謝エネルギー=可消化エネルギー (DE) ―1.25×可消化粗蛋白質 (DCP) 〕の信頼性を検討すべく, 5種類の飼料を4頭のビーグル成犬に給与して, 消化試験, 窒素 (N) 出納試験およびエネルギー価の実測試験を行った。粗蛋白質, 粗脂肪, 可溶無窒素物の消化率は, それぞれ79.5%, 91.6%および84.8%であった。窒素出納 (NB) はすべて正で, 摂取乾物飼料1g当たり1.4~8.6mgの範囲内であった。摂取された窒素のうち, 平均で21%が糞に, 66%が尿に, 13%が蓄積に回された。飼料の総エネルギーのうち, 平均で18%が糞に, 5%が尿に排泄され, 77%が代謝エネルギー (ME) であった。1%が蓄積分であり, 窒素補正代謝エネルギー (MEn) は76%となった。また, 尿中窒素1g当たりの尿エネルギー (UE) の損失は平均で7.84kca1であった。UE/DCPとNBとの間には高度の相関関係があり (UE/DCP=1.24-0.03NB, r=0.798, P<0.001) , 窒素平衡 (NB=0) 下ではUE/DCPは1.24kca1/gとなり, 上述の計算式の係数とほぼ一致した。この式で求めた代謝エネルギー値は, MEnとよく一致し, 両者の値は実測ME値より有意 (P<0.05) に低かった。以上より, 上述の式は, 本来MEn=DE-1.25DCPと表されるべきものであり, 供試飼料のMEnを簡便に推定できる信頼性の高い式と結論した。また, 本式はN平衡にあるイヌはもとより, Nを蓄積しているイヌに対しても適用できることが立証された。
  • 外尾 亮治, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 4 号 p. 579-583
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    高齢時に発現する性機能減退の要因として高プロラクチン血症が考えられている。この点を明らかにするため, 交尾経験を有する若齢成熟雄ラットの腎被膜下に下垂体を移植することにより高プロラクチン血症動物を作出し, 高プロラクチン血症が交尾行動にどの様な影響を与えるのかについて検討した。乗駕 (MF) , 挿入 (IF) , 射精 (EF) 回数において, MFは両群間に統計的な差異は認められなかったが, IFおよびEFは下垂体移植個数に応じて減少し, 下垂体2個移植群と偽手術群との間には有意差が認められた。また, 乗駕潜時 (ML) , 挿入潜時 (IL) , 射精潜時 (EL) の各潜時と射精後挿入間間隔 (PEI) において, MLは下垂体2個移植群が僅かに高値を示したが偽手術群との間に有意差は認められなかった。ILは下垂体移植個数に応じて延長し, 下垂体2個移植群と偽手術群との間に有意な差異が認められた。ELとPEIでは, 下垂体移植個数に応じて延長する傾向を示した。さらに, 下垂体2個移植群と偽手術群のLH, FSH, Prolactin (PRL) およびTestosteroneの血中濃度を測定した結果, 下垂体移植群のPRLレベルは偽手術群よりも有意に高値を示した。以上の成績より, 下垂体移植若齢成熟ラットに観察された交尾行動の抑制は高齢ラットのそれと類似していた。このことは, 加齢に伴う雄ラットの交尾行動の減退が高濃度の血中PRLの持続の結果生じたものと推察された。
  • 木内 吉寛, 久原 孝俊, 渡来 智, 亀高 正夫
    1993 年 42 巻 4 号 p. 585-591
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    体重増加と飼料摂取量の関係をC3H/He, C57BL/6, A/J, の3系統マウスで蛋白質含有量の異なる4種類の飼料を用いて実験をおこなった。同時にNK活性の測定もおこなった。3%蛋白質含有飼料群マウスの体重増加は3系統マウス共に非常に悪かった。また, 40%蛋白質含有飼料群は10%, 20%蛋白質含有飼料群より体重増加は悪かった。1, 2の例外を除いて, 飼料中の蛋白質含有量の多少と無関係に, マウスはほぼ一定量のカロリー (エネルギー) を摂取することが示された。また, 飼料中の粗蛋白質の量が体重増加に最も重要な役割をしていることも示された。また, C57BL/6の40%粗蛋白質含有飼料群において, 異常に多い飼料の摂取が見られた。4種類の蛋白質含有量の異なる飼料を摂取した3系統マウスにおいて飼料中蛋白質含有量の多少によるNK活性, 抗SRBC抗体産生に差は見られなかった。
  • ―樹脂鋳型標本の走査型電子顕微鏡による立体的観察―
    二宮 博義, 猪股 智夫, 荻原 喜久美
    1993 年 42 巻 4 号 p. 593-599
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    腫瘍の生理機能や病態を理解するためには, 腫瘍の血管系についても十分な知識が必要である。こうした観点から, Sprague Dawleyラットに3-Methyl Choranthreneを投与して腹壁または胸壁の皮下に線維肉腫を誘発させて, 肉腫の血管系を詳細に観察した。方法は肉腫の血管系にアクリル系樹脂を注入し樹脂鋳型標本を作製し走査型電子顕微鏡 (SEM) で立体的に観察した。さらに, 別のラットには墨汁を注入して透明標本を作製しSEM所見と比較した。肉腫より離れた部位の動脈の樹脂鋳型標本では, 正常な血管と同様に血管の分枝部にintra-arterial cushion (血管内膜が肥厚して括約構造となり血流の調節機能があるとされている) を思わせる構造が認められた。さらに, 動脈壁の平滑筋線維の収縮と内皮細胞の配列によってできる縦縞の構造物も認められた。しかし, 肉腫に侵入直前または肉腫内の動脈では鋳型の表面は滑らかで, 正常な動脈で認められる構造物は存在せず, 動脈壁の変性または動脈壁の収縮機能の消失を思わせる所見を示した。肉腫を潤す毛細血管は細く, 径は4~6μmであった。この毛細血管は肉腫の表層部分では密な血管網を, 深部では疎な血管網を形成していた。この肉腫の毛細血管網には, 旺盛な血管新生を示すsprouting capillaryはあまり認められなかった。
  • 田原 知徳, 小川 和重, 谷口 和之
    1993 年 42 巻 4 号 p. 601-610
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アフリカツメガエルの孵化直後から変態完了までの幼生について, 前腎と中腎の発生過程を形態学的に明らかにし, 両腎におけるレニン陽性細胞の出現動態を免疫組織化学的に検討した。前腎は, 孵化直後 (St35/36) で3対の前腎細管を有し, St37/38で前腎管の総排泄腔への開口に伴ない機能腎としての形態を呈した。以後前腎の体積は増大したが, St56になると変性退縮が始まり, St60で一部の前腎管消失による実質的な機能消失がおこり, St64で完全に消失した。中腎はSt42で原基細胞が出現し, St48で造中腎組織から分化した中腎細管および幼若な腎小体も認められるようになった。St 49になるとネフロンが認められるようになり, 中腎細胞は4部の尿細管 (頸部, 近位部, 中間部, 遠位部) に分化し, また集合細管, 集合管も観察された。St56になるとネフロンの変性と新生が認められ, 再編成を伴う中腎の発達は変態完了時でも続いていた。一方, レニン陽性細胞は前腎では認められず, 中腎では背側大動脈の腎動脈分岐部, 中腎内の動脈壁, 輸入細動脈壁に局在したが出現頻度は低かった。
  • 海老野 耕一, 首藤 康文, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 4 号 p. 611-613
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ウサギは食糞行動を示す代表的動物種である。従来よりウサギは軟糞・硬糞の2種類の糞を排泄し, その内軟糞だけを摂取すると報告されてきた。しかし, ウサギの食糞行動を詳細に観察したところ, ウサギは軟糞同様に硬糞も摂取していた。従来, ウサギはその栄養価値が高いゆえ軟糞のみを摂取すると言われていたが, 栄養価値の低い硬糞も食べていることが本実験で明らかになった。得られた成績から, ウサギの食糞行動は結腸もしくは直腸内にあってそれらの壁を内側より伸展する糞そのものの刺激によって誘起される可能性があると考えられた。
  • 梅田 昌樹, 斎藤 徹, 菅原 盛幸, 高橋 和明, 杉山 公宏
    1993 年 42 巻 4 号 p. 615-618
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本邦原産ハタネズミ (Micyotus montebelli) およびハンガリー原産ハタネズミ (Microtus arvalis) におけるscent glandの存在を肉眼的ならびに組織学的に検索した。本邦原産ハタネズミでは, 臀部皮膚にやや隆起した島状淡黄色のscent glandが左右1対観察され, 雌よりも雄の腺が大きかった。組織学的には, scent glandは皮脂腺の集合体であり, 腺を覆う表皮は肥厚していた。一方, ハンガリー原産ハタネズミでは, scent glandは全身の肉眼的観察において認められず, 臀部皮膚の組織学的観察においても検出されなかった。
  • 高市 松夫, 南保 俊雄
    1993 年 42 巻 4 号 p. 619-621
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    犬の胆汁を長時間採取するため, 無拘束胆汁採取法を開発した。犬の腹部皮膚を切開し, 腹部側面の皮膚から, 腹部切開部にガイド針を皮下挿入し, カテーテルをガイド針を通して側面より腹部に通じさせる。カテーテルの総胆管へのカニュレーションを施した後, 犬にジャケットを装着させる。側部のカテーテルの一端をジャケットの収納ポケットに入れた捕集容器に導入する。以上の処理を施した犬 (10kg) をケージに飼育することにより、3週間連続して4.2~4.6ml/hの一定流速で胆汁を採取できる。胆汁採取期間中, 摂餌・摂水が自由であり, ストレスによる異常行動が認められないので本法は長時間の胆汁採取に良好な実験法であると考える。
  • タッパ バハルディン, 天尾 弘実, 斎藤 徹, 杉山 公宏, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 4 号 p. 623-626
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    90 (対照) , 180, 240, 270および300日齢のIVCS系雌マウスの2-細胞期胚を用い, 体外培養での発育能について検討した。妊娠1日目に卵管から採取した卵子のうち受精卵の比率は90日齢および180日齢で各々100%および91.1%であった。しかし, 240~300日齢においては90日齢よりも有意に低かった (P<0.05) 。90~270日齢のマウス受精卵の2-細胞期胚の大多数は桑実期胚を経て胚盤胞に発育した (90.5~100%) 。その後, 脱出胚盤胞への発育率は有意に減少した (61.9~83.3%) 。これに対して, 300日齢の2-細胞期胚の発育率は, 各発育段階において漸時減少し60.3%の脱出胚盤胞が得られた。桑実期胚から胚盤胞への発育率において有意な減少が認められた。
  • 大和田 一雄, 田村 啓二
    1993 年 42 巻 4 号 p. 627-630
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    動物管理センター由来の雑犬を実験用に選別する際のα1酸性糖蛋白量測定の有用性について検討した。1, 013例における測定値の平均値 (±標準偏差) , 最小値, 最大値はそれぞれ, 375.9 (±244.8) , 20, 1, 650μg/mlであった。そのうち, 219例において異常値と判断される500μg/ml以上の測定値が得られた。15項目の臨床化学値およびヘマトクリット値とα1酸性糖蛋白量との相関は極めて低かった。搬入後2週間以内に死亡した176例のうち, その約3分の1の動物においてα1酸性糖蛋白量が異常値を示していた。以上の結果から, α1酸性糖蛋白の変動は実験用として雑犬をスクリーニングする際, 極めて有益な指標となることが明らかにされた。
  • 長澤 弘, 古市 龍太, 坂本 忍, 山本 和俊
    1993 年 42 巻 4 号 p. 631-634
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウスの自然発生乳癌は, 経時的にその発生, 増殖をチェックできる唯一の自然発生癌であり, 乳癌のほか多くの癌の実験モデルとして貴重なものである。本報告では我々が確立した乳癌高発系のSHN雌マウスにおける未経産と経産個体の乳癌発生能を比較した。両群とも5~6ヵ月齢より発生し, 16ヵ月齢では100%の発生をみた。11ヵ月齢における積算発生率を除いて, 群間に乳癌発生率に有意な違いはみられなかった。前癌症状HANの発生数では経産群の方が多かったが, それ以外の乳腺関連のパラメータ, およびプロラクチンの血中レベルにも群間に差は認められなかった。以上の結果, SHN雌マウスでは, 他の多くの系統と異なり, 未経産個体でも経産個体と同様の乳癌発生能を有し, かつ5ヵ月間 (6~11ヵ月齢) で50%以上の発生を示すことから, きわめて有効な実験モデルであることが明らかになった。
  • 大和田 一雄, 片平 清昭
    1993 年 42 巻 4 号 p. 635-637
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    42匹のコットンラット (雌21匹: 29.08~169.60g, 雄21匹: 18.93~168.03g) について直接法により体表面積を測定し, 体重との相関を求めた。それにもとづき, 体表面積を求める際の公式, [体表面積 (cm2) =47.66+2.476×体重 (g) -0.006×体重 (g) 2] , を導きだした。この公式の有用性を確かめるため, 別の19匹 (雌12匹: 29.08~169.60g, 雄7匹: 19.27~167.32g) について, 公式によって得られた値と直接法によって得られた値を比較しその相関を求めた。両者の相関は極めて高く (r=0.995) , 今回得られた公式はコットンラットの体表面積を求める上で有効であることが明らかにされた。
  • 螺良 愛郎, 森井 外吉, 池原 進
    1993 年 42 巻 4 号 p. 639-642
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ライノマウスは, ホモでは脱毛犀肌を呈するが, ヘテロのときは外観上正常である。ホモのメスは出産はするが子を育てることができず, 乳腺原基はもつがその発育はわるいとされている。しかし, 乳腺の詳細な観察はなされていないため, 生後1ヵ月より1年までのホモをヘテロのものと比較した。ホモの乳腺は1ヵ月令でterminal end bud, 3ヵ月令でlateral bud, 6ヵ月令でalveolar budを認めヘテロのものと発育に差はみない。また, 3ヵ月令よりマウス乳癌ウイルスの発現を認め, 7ヵ月令より過形成腺胞の出現も同様に認める。ホモの出産個体の乳腺には乳汁分泌像がみられ筋上皮も存在している。なお, ライノには汗腺も正常にみることにより, 皮膚・皮膚付属器の異常は脂腺毛包系に限局していることが判明した。
  • 二村 芳弘, 松本 清司
    1993 年 42 巻 4 号 p. 643-645
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    4~52週齢のSlc: Wistarラット骨髄中サイトカイン (IL-lα, IL-1β, IL-3, IL-6, EPOおよびTNFα) 量をイムノアッセイ法により測定した。4週齢Wistarラット骨髄中のIL-1α, IL-1β, IL-3, IL-6およびEPO量は高く, 8~18週齢で一定となり, 26および52週齢で減少し, 一方, TNFα量は高値を示した。これらの結果は骨髄細胞増殖の状態を反映していると考えられた。
  • 清澤 岩水, 青木 誠, 今村 卓広, 柴田 信男, 内藤 惇, 斎藤 徹, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 4 号 p. 647-651
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    自然発症性糖尿病好発WBN/Kob系雄ラットの加齢に伴う視覚機能を行動学的に検討した。Wistar/ST系雄ラットを対照とし, 5, 9, 13, 17, 23, 27, 36, 45, 54, 67, および80週齢時に各5匹ずつ, 明暗識別能試験およびオープンフィールド試験を実施した。明暗識別能試験における暗所選択率は, WBN/Kob系ラットでは5~54週齢まで85.0~100%であり, 視覚機能の低下は認められなかった。しかし, 67および80週齢では58.8および52.6%となり, 視覚機能の低下が認められ, 対照のWistar/ST系ラットとの間に統計学的に有意差 (P<0.05) が認められた。Wistar/ST系ラットの暗所選択率は5~80週齢まで加齢性変化は認められず84.2~100%であった。これに対し, オープンフィールド試験では, 67および80週齢で視覚機能低下に伴う歩行移動量の増加は認められなかった。
  • 片平 清昭, 大和田 一雄
    1993 年 42 巻 4 号 p. 653-656
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成熟コットンラットの血液学的諸項目について測定し, 正常値として報告する。16~18週齢のコットンラット, 雄28例, 雌29例について8項目の血液学的測定を実施した。その結果, 雌の赤血球数 (RBC) , ヘマトクリット値 (Ht) , 平均赤血球容積 (MCV) は雄よりも有意に低い値であった。ヘモグロビン値 (Hb) と血小板数 (PLT) は有意差を認めないものの雌の方が雄よりも低い傾向を示していた。白血球数 (WBC) と血小板数は雌雄ともに個体変動が大きかった。
  • (社) 日本実験動物学会調査ワーキンググループ
    1993 年 42 巻 4 号 p. 657-663
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 芹川 忠夫, 山田 淳三
    1993 年 42 巻 4 号 p. 665-671
    発行日: 1993/10/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    LAS公開シンポジウム「実験動物科学の使命と新たなる展開」の講演要項中, 「獣医学は実験動物科学のなかで何をなすべきか (光岡知足) 」の7ページ, 21行目~25行目に, 記述が不十分なところがあったので, 24行目, 「微生物学的研究・開発の重要性について言えば, 昨年11月から今年1月, 京大医学部附属動物実験施設で起きたラットの腎症候性出血熱とそれに対する対応のしかたに問題があったことからも明らかである。」のあとに, 「このような事件の再発を防止するためにも, また, 適正に行うべき動物実験を, とかく安易に考えがちな実験動物使用者に対して警告を与える意味においても, 本病原体がどのような経路で侵入し, 本事件をどのように処理したか, さらに, 今なお, どのような問題が残されているかについて関係者の見解を表明すべきであったと思う。」を挿入・加筆することを考えたが, 上記のような関係者の報告が掲載されることとなり, ここに7ページ, 21行目~25行目の記述のすべてを削除する。関係者から問題点として指摘された項目を含め, 人畜共通伝染病としての微生物学的研究・開発ならびに情報システムの一層の進展を望むとともに, 同様の事件発生の際には, 積極的に会員に事件についての情報を提供していただくことを切望する。
feedback
Top