抄録
「自発運動」として, しばしば同義語のように用いられる車回し運動活性 (WRA) と移所運動活性 (AA) の差異について, 種々の日齢のラットを用いて, 長期間連続観察を行い検討した。各日齢のラットのWRAおよびAAは総て夜行性動物特有のリズムパターンを示した。WRAおよびAAは加齢と共に低下する傾向が認められ, 特にWRAにおいて著明であった。一般に実験に多用される成熟ラットのWRAはその1日量が安定するまでには測定装置収容後30日以上の期間を要した。また, 幼若時におけるAAは高値であった。以上の結果から, WRAおよびAAを観察指標とする行動薬理試験においては, 観察指標, 観察条件, 測定装置, 日齢等を十分考慮しなければならないことが示唆された。