抄録
プロジェステロンの長期移植処置による性周期同期化モルモットの交尾時期, 着床前までの受精卵の発育および妊娠期間等について観察した。処置方法として, 雌動物の皮下にプロジェステロン充填 (以下Pと略) サイラスティクチューブの埋没移植処置を14日間行った。交尾はPチューブ除去後4日目の夕より6日目の朝までに54例中53例 (98%) に観察されたが, 交尾した動物の大多数 (47/53, 89%) はチューブ除去後5日目に交尾が確認された。Pチューブ除去後5日目 (妊娠0日とする) に交尾が確認された動物の生殖管より回収した胚を観察した結果, 妊娠1, 3, 4および5日目にはそれぞれ4細胞期, 8細胞期, 桑実期および胚盤胞期胚に発育していた。妊娠1日目から5日目までの胚の回収率は85~100%と高率であったが, 妊娠6日目の夕方には回収されなかったことから, この時点で着床しているものと考えられた。同期化動物7例における平均妊娠期間 (±標準偏差) は67±1日であり, 4.0±0.8匹の正常児を分娩した。本研究により小規模な種動物集団でのモルモットの計画生産が可能なことが示され, 目的とする発育ステージの胚採取可能日を妊娠日数で示したことはモルモットの胚操作の研究に有益と考えられる。