Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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1, 2および4匹の発情雌に対する雄シリアンハムスターの交尾行動
山口 孝雄斎藤 徹高橋 和明
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1994 年 43 巻 4 号 p. 461-469

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抄録
シリアンハムスターの生産効率の向上を計るために, 雄1匹に対して発情雌2および4匹を同居交配した。その結果, 雄の妊孕能は発情雌1匹交配群に比較して低下した。この妊孕能の低下の原因を明らかにするため, 30分間の交尾行動を観察し, さらに雄の妊孕能を調べた。その結果, 雄雌1対1, 1対2および1対4交配時のマウント, イントロミッションおよび射精回数の中央値は, それぞれ27, 36, 3回, 37, 27, 4回および13, 2, 0回となり, 発情雌4匹交配群が発情雌1匹交配群および発情雌2匹交配群に比較して著しく減少した。雄の妊孕能では発情雌2匹交配群では精子の認められた割合が, 12/14例であったにも拘らず出産に至った割合は6/12例と低下した。また, 発情雌4匹交配群では一連の交尾行動が殆ど認められず, 精子の観察された割合は6/28例となり, さらに出産までに至った割合は1/6例と激減した。したがって, 発情雌の数が増加しても生産効率の向上には結びつかず, その原因として1匹の雌が雄の交尾行動を受ける回数の減少 (発情雌2匹の場合) および雄の交尾行動の抑制 (発情雌4匹の場合) が推測された。
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© 社団法人日本実験動物学会
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