1994 年 43 巻 5 号 p. 761-764
チャイニーズハムスター間葉型軟骨肉腫由来の2種のクローン細胞株を用い, 実験的肺転移の病態を比べた。未分化型細胞のみよりなるMCS-1株と, 軟骨への分化能を持つMCS-8株において, ヌードマウス静脈内移植23日目の転移率は, それぞれ100%と33%, 肉眼的転移結節数は平均41個と3個であった。また, 移植後生存日数は, それぞれ平均27日と48日であった。しかし, MCS-8移植42日目には, その転移率も100%となった。以上の結果から, 両者の転移像の相違が明らかとなった。また, 転移能を論じるときは, 転移臓器への腫瘍細胞生着率が問題となるが, その際, 転移部位における腫瘍の増殖速度を特に考慮する必要がある。