ファルマシア
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発癌性マイコトキシン(進歩)
斎藤 守
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1969 年 5 巻 7 号 p. 451-456

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抄録

主として伝染性疾患の著明な減少が予防医学ならびに治療医学の進歩によってもたらされ,その結果近年平均寿命は著るしく延長を示すに到ったが,一方では脳血管損傷,癌,心臓病等は相対的に上位に進出して来た.ひとの癌の真の原因は一部のものを除き大部分は不明のまま残されているが,癌の病原追求の一環として食品に関係のある動植物特に微生物領域の天然発癌物質の追求が植物病理,化学,生化学,病理学ら研究者の協力によって行われ,黄変米のかびの一種Penicillium islandicumからLuteoskyrin,含塩素ペプタイド,Aspergillus flavusからAflatoxinが発見されて来た.特にAflatoxinの強力なヘパトーマ発癌性の発見はひとの癌の原因としてのマイコトキシン研究の重要性を示唆した.更にひとの癌の原因追求は癌の疫学的調査と平行して行われるべきで,食品を汚染する既知或は未知の発癌性マイコトキシンの研究は重要であると考える。

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© 1969 The Pharmaceutical Society of Japan
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