ファルマシア
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最新号
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目次
  • 2026 年62 巻2 号 p. 100-101
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル フリー

    ミニ特集:プリオン病研究の最新動向

    ミニ特集にあたって:ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)やウシの海綿状脳症(BSE)は,異常型プリオンタンパク質の蓄積が引き起こす進行性致死性神経変性疾患(プリオン病)である.1996年にBSEに起因する変異型CJD患者が英国で初めて確認されたことをきっかけに,ウシに由来する食品の安全性が脅かされ,2000年代前半まで世界的な大混乱が生じた.四半世紀がたった現在では,BSEの発生は大幅に減少し,当時の狂騒を知らない世代も増えている.その後,プリオン病の発症機構,病態,治療・診断法や宿主免疫応答の研究でどのような進展があったのか,本ミニ特集では専門家の先生方に最新動向を解説していただく.

    表紙の説明:62巻偶数号の表紙を飾るのは,ピクトグラムである.様々な分野で活躍するファルマシア読者の姿をイメージしてデザインした.ご自身の姿と重なるピクトグラムは見つかるだろうか.見つからないという方は,ご自身の姿を表現するピクトグラムを思い浮かべてほしい.表紙のイメージよりも多くの分野の方々にファルマシアが届くことを願っている.

オピニオン
Editor's Eye
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
ミニ特集 最前線
最前線
最前線
  • 妊孕性向上を目指した,プレコンセプションケア,不妊治療の最適化へ
    小池 洋, 原田 美由紀
    2026 年62 巻2 号 p. 137-142
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    近年、不妊症が増加してきており、その主因の一つとして卵巣機能の低下が指摘されている。本研究では、年齢や月経周期などの基礎情報と採血による測定値を入力することで、卵子の数と質を高精度に予測する卵巣機能予測モデルを開発した。従来法を上回る精度で卵子数を推定し、卵子の質に関しても一定の予測精度を実現した。本モデルにより、プレコンセプションケアの推進や個別の不妊治療の最適化が期待される。

話題
  • AI駆動科学の基盤として
    光山 統泰
    2026 年62 巻2 号 p. 143-148
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    人材不足、AI学習用データの非属人化、再現性担保という要請のもと、バイオ実験の自動化は研究の中核インフラとなった。本稿では、これらの喫緊の課題を背景に、①なぜ自動化が現代研究に不可欠な必然性を持つのか、②自動化とは何か、③実現方法(要求仕様の要点)、④自動化とAIの関係、の4点を整理する。自動化は人間作業の模倣ではなく機械で確実に実行できるプリミティブ操作への近似と、自由度を計画的に削減する設計により成立する。この「自由度の計画的削減」こそが、AIが処理可能な質の高い実験データ(非属人化・高再現性)を生み出す基盤となる。その上に運用AIと解析AIを統合したフィードバック循環を確立することで、信頼性と研究スピードを同時に引き上げられる。バイオ実験自動化システム導入時の受け入れ基準テンプレートも併載する。

私のターニングポイント
  • 大村 智
    2026 年62 巻2 号 p. 150-151
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    大学卒業後定時制高校の教員を務めた後、研究生活に入り山梨大学でワイン造りを経験し、その後北里研究所に入所し、構造解析から始めた抗生物質の研究を探索研究に切り換えた。米国留学時に研究資金を確保し、帰国後研究室を主宰することができたが、その後理事会の決定により研究拠点の閉鎖を命じられた。そこで独立採算で研究費を確保し研究員を育成しながら、新規微生物代謝産物の探索研究を続け成果を挙げることができた。

最終講義
留学体験記 世界の薬学現場から
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
長井記念薬学奨励支援事業採用者からのメッセージ
トピックス
  • 大橋 栄作
    2026 年62 巻2 号 p. 160
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    複素環化合物における置換基や官能基を環上の別の部位に転位させる手法は,構造最適化を目的とする構造活性相関(SAR)研究において非常に有用である.しかし,この種の転位反応に関する報告は依然として限られている.今回Steeleらは,創薬分野で重要なユニットであるジヒドロベンゾフランにおいて,一般性の高い形式的1,2-アシル転位反応の実現に成功したので,本稿にて紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Steele R. T. et al., Science, 388, 631-638(2025).

    2) Bach R. D., Domagala J. M., J. Org. Chem., 49, 4181-4188(1984).

  • 河谷 稔
    2026 年62 巻2 号 p. 161
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    ラマンイメージングは,分子の振動情報を検出するイメージング手法であり,従来は脂質やタンパク質といった生体分子を無染色で可視化する手法として用いられてきた.近年ではラマンスペクトルの線幅が蛍光よりも極めて狭いことに着目し,特徴的なラマン信号を示す分子をタグとして用い,蛍光では分離不可能な種類の分子を同時観察する超多重イメージングツールとしても注目を集めている.

    今回Huらは,細胞由来のラマン信号が少ないsilent領域と呼ばれる波数領域のうち,クムレン誘導体が従来のラマンタグとは異なる波数領域にラマン信号を示すことに着目し,新たなラマンタグ開発と,細胞内小器官や生体反応の多重イメージングを実現したので本稿にて紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Bai X. et al., Anal. Chem., 97, 15393-15401(2025).

    2) Hu F. et al., Nat. Methods, 15, 194-200(2018).

    3) Chen C. et al., Nat. Commun., 12, 3405(2021).

  • 中本 雅斗
    2026 年62 巻2 号 p. 162
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    柑橘類の果物を用いた飲料は多種多様なフェノール性化合物を含み,供給源として大きな注目を集めている.フェノール性化合物が有している薬理作用により,一般市民や医療専門家に着目されている柑橘類飲料であるが,柑橘類果汁の需要の高さ,異常気象による収穫量低下,植物病害等が食品偽装の誘引となり,柑橘類の真正性の証明が1つの問題となっている.柑橘類には,桂皮酸誘導体,フラバノン,フラボンおよびクマリン等,特性が大きく異なるフェノール性化合物が多数含まれる.フェノール性化合物を分析することで柑橘類の見極めが可能となるが,分析対象が広く,同時に同定・定量することは困難である.従来の測定方法では,HPLC-UVやLC-MSによる特定成分の個別定量が中心であり,網羅的な分析方法の研究は限られていた.そのため,果汁の真正性を的確かつ迅速に確認するためには,柑橘類に含まれる多種多様なフェノール性化合物群の同時同定および定量方法の開発が重要であった.本稿では,Gilcherらが確立した柑橘類果汁に含まれるフェノール性化合物群の同時同定および定量方法について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Jungen M. et al., Food Chem., 359, 129804(2021).

    2) Gilcher C. et al., Food Chem., 485, 144416(2025).

  • 木村 聡一郎
    2026 年62 巻2 号 p. 163
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    核酸医薬は標的遺伝子に対して直接作用することが可能であり,なかでもモルフォリノ核酸(PMO)はデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)治療薬として承認例もあることから注目されている.DMDはジストロフィンmRNAエクソンの一部(exon45)が欠損し,フレームシフト変異により体内のジストロフィン産生量が低下することに起因する.PMOは,ジストロフィンmRNA前駆体(pre-mRNA)に結合し,スプライシングの際に標的エクソン(exon44)をスキップさせ,正常型より短いながらも機能的なジストロフィンの産生を促す.しかし,既存のPMOは薬効発現に高用量の頻回投与が要求されるうえに,治療後も筋中のジストロフィン濃度は健常者の1%未満と依然として低い.本稿では,PMOの標的組織への送達効率改善に向け開発され,臨床試験中の抗体―オリゴヌクレオチド複合体(AOC)であるAOC1044に関するEtxanizらによる報告を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Etxaniz U. et al., Nucleic Acids Res., 53, gkaf241(2025).

    2) Jiao J. et al., Pharmacol. Res., 209, 107469(2024).

  • 本間 拓二郎
    2026 年62 巻2 号 p. 164
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    補体介在性の赤血球細胞死(溶血)は,自己免疫性溶血性貧血(AIHA)1)や発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)2)などにおいて主要な病態メカニズムとされており,補体系の過剰な活性化が成熟赤血球の破壊を引き起こす.従来,補体活性化によって形成される膜侵襲複合体(MAC)が赤血球膜に孔を形成し,物理的な膜傷害を引き起こすことで溶血が生じると考えられてきた.Chenらはその理解を大きく刷新し,補体介在性溶血において,成熟赤血球が円盤状からトゲ状,さらに球状へと形を変え,最後には膜だけが残る「ゴースト」(すなわち,溶血)になる,段階的な破壊プロセスが存在することを明らかにした. この新たな細胞死経路は“spectosis”と命名され,従来のアポトーシスやネクロプトーシスとは異なる赤血球特有のプログラム細胞死として提唱された.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Michel M. et al., Nat. Rev. Dis. Primers, 10, 82(2024).

    2) Notaro R., Luzzatto L., N. Engl. J. Med., 387, 160-166(2022).

    3) Chen Y. et al., Cell, 188, 3013-3029(2025).

  • 北川 航平
    2026 年62 巻2 号 p. 165
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    先日,「女性に対して自動体外式除細動器(AED)を使用すると,性被害で訴えられる可能性がある」との情報が拡散され,大きなニュースとなった.確かにリスクが存在することは否定できないが,倒れている人がいれば助けたいと思うのが人情ではないだろうか.筆者自身も,電車で目の前にいた方がてんかん発作を起こした時,ほとんど無意識で介抱に向かった経験がある.その時は,相手が男性であるか女性であるかといった判断が働くよりも前に,本能的な「助けなければ」という衝動に動かされていた.このような,同種を助けようという衝動は,高度な思考力や倫理観を持つ人間に特有のものなのだろうか? 近年,げっ歯類の一種であるハタネズミにおいて,同種を毛づくろいで慰める「救助行動」が存在することが報告された.興味深いことに,この行動は神経ペプチドであるオキシトシンに対する拮抗薬の投与によって消失した.このことは,脳内のオキシトシンシグナル伝達が,本能的な救助行動の制御に関与していることを示唆する.そこで本稿では,最新の神経科学的手法を用いて,オキシトシンを介した救助行動の神経メカニズムに迫ったSunらの論文を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Burkett J. P. et al., Science, 351, 375-378(2016).

    2) Sun W. et al., Science, 387, eadq2677(2025).

  • 水野 友理
    2026 年62 巻2 号 p. 166
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    富栄養化は,早急に対応すべき世界的な水環境問題の1つである.リンおよび窒素は富栄養化の主要な原因物質であり,水の透明性の低下や水生生態系に悪影響をおよぼすことが懸念されている.そのため,廃水中からリンおよび窒素を除去することは,水環境の改善および保全のために非常に重要である.従来より,リン除去技術の開発が進められており,なかでも「吸着」を基盤とした処理技術は汎用性が高く,高効率の除去能を有するほか,二次廃棄物の発生がないなど効果的な除去技術の1つである.具体的な吸着剤には,活性炭,ゼオライト,金属有機構造体や陰イオン交換樹脂などが用いられている.しかし,これらは,リン酸イオンに対する選択性や吸着容量,吸着速度および吸着剤の再利用性の点から更なる改善が必要とされている.本稿では,最新のリン酸イオン吸着剤の開発について,その研究成果を紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Li J. et al., J. Environ. Chem. Eng., 13,117169(2025).

    2) Li Y. et al., Sep. Purif. Technol., 297, 121484(2022).

    3) He F. et al., ACS EST Water, 4, 5575-5586(2024).

  • 山田 幸平
    2026 年62 巻2 号 p. 167
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    吸入剤は呼吸器疾患治療薬を患部へ直接送達可能な投与形態であるほか,膜透過性が乏しい薬物を非侵襲的に全身循環へと送達可能な投与形態としても注目されている.吸入剤の開発初期段階は柔軟な投与量調節に対応するために対象薬物の溶液をネブライザーで噴霧し,評価することが多い.しかし開発後期段階では,あるいは開発初期段階から並行して,患者に優しく,利便性が高く,経済的な製剤の設計を進めることが望まれる.薬物投与量が多くない場合には,これらのニーズに応えられる方法の1つである,粉末吸入剤(RP)をドライパウダー吸入器(DPI)を用いて吸入する方法が選択され得る.この際,ネブライザーによる溶液吸入時とDPIによるRP吸入時で生物学的同等性を示す必要があり,この同等性をいかに効率的に示せるかが開発期間短縮やコスト削減の鍵を握ると言えよう.薬物の物性と吸入時の体内動態を紐づける概念として,inhalation biopharmaceutics classification system(iBCS)が提唱されている.このiBCSでは,呼吸器内における低分子薬物の沈着部位が薬物動態に及ぼす影響について報告している.本稿では,タンパク質医薬を吸入時の沈着部位が薬物動態に及ぼす影響を評価した論文について紹介する.

    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.

    1) Forbes B. et al., Mol. Pharm., 22, 1740-1751(2025).

    2) Franek F. et al., Mol. Pharm., 22, 3693-3701(2025).

    3) Yu C. P., Diu C. K., Am. Ind. Hyg. Assoc. J., 43, 54-65(1982).

会議派遣報告
  • DPhG Annual Meeting 2025
    石井 伊都子, 小比賀 聡
    2026 年62 巻2 号 p. 156-157
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/02/01
    ジャーナル 認証あり

    日本薬学会(PSJ)とドイツ薬学会(DPhG)との学術交流協定に基づき、DPhG Annual Meeting 2025(フライブルク大学開催)に参加した。テーマは「サステナブル・ファーマシー」で、薬学における持続可能性が多面的に議論された。また、創薬、臨床薬学など多様なセッションにおいて最新の研究成果の発表と活発な議論が行われていた。DPhG関係者や若手研究者との交流を通じて、日独両学会の共同企画や人材交流の可能性が広がり、今後の学術連携強化に向けた良い機会となった。

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