ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
最新号
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目次
  • 2018 年 54 巻 7 号 p. 644-645
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル フリー
    特集:亜鉛が切り開く生命医薬学
    特集にあたって:亜鉛は生命に必要な微量元素であり,その欠乏は成長の遅れ・脱毛・皮膚炎・神経機能の異常・がん・免疫力低下など様々な異常をもたらす.体内での亜鉛の低下は,低出生体重児や妊婦,高齢者で起こりやすく,偏った食事,過度な運動,亜鉛キレート作用を有する薬剤の長期服用によっても引き起こされる.本特集では,亜鉛研究を牽引する薬学研究者の先生方を中心に,細胞内の亜鉛動態を制御する輸送系(亜鉛トランスポーター)や輸送系を介して誘導される情報(亜鉛シグナル),亜鉛シグナルの異常がもたらす疾患,そのシグナルを観察するための亜鉛イメージングについて,最新の基礎研究の知見をご紹介していただくとともに,亜鉛錯体医薬品など広がる臨床応用の可能性についても触れていただいた.
    表紙の説明:亜鉛欠乏は,亜鉛トランスポーターの遺伝子変異などを介した亜鉛シグナルの異常によって引き起こされ,がんや糖尿病といった生活習慣病をはじめ,皮膚疾患,神経疾患,腎不全など様々な病態の原因となる.ヒトの健康維持のために,亜鉛恒常性は不可欠な要素であり,効果的な薬剤投与による亜鉛の補充は,これらの疾患の治療に有効であると考えられる.
オピニオン
Editor's Eye
セミナー
  • 高岸 照久, 原 貴史, 深田 俊幸
    2018 年 54 巻 7 号 p. 653-657
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    亜鉛は,生命活動の維持に必要な微量元素の1つであり,その欠乏症は多岐に渡る.生体内における亜鉛の恒常性は,亜鉛トランスポーター(亜鉛輸送体)によって厳密に制御されているが,その仕組みや生理的な役割については良くわかっていない.近年,遺伝子改変マウスやゲノムワイドな解析によって,亜鉛トランスポーターの生理機能が徐々に明らかにされてきており,さらに,亜鉛トランスポーターの機能破綻に起因する疾患もいくつか報告されている.本稿では,亜鉛トランスポーターが関わる疾患との関係性について概説する.
最前線
  • 本間 謙吾, 藤澤 貴央, 一條 秀憲
    2018 年 54 巻 7 号 p. 658-662
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    亜鉛は非常に多くのタンパク質の適切な立体構造や活性の維持に必要であり、生体にとって重要な微量元素である。しかしながら、亜鉛が生理作用を発揮する詳しい分子機構や、亜鉛恒常性の維持機構については未解明な点が多く残されている。本稿では、亜鉛制御機構としての小胞体ストレス応答について紹介し、筆者らが研究を進めている筋萎縮性側索硬化症と亜鉛恒常性の破綻の関係について議論したい。
話題
  • 川原 正博, 田中 健一郎, 根岸 みどり
    2018 年 54 巻 7 号 p. 663-666
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    必須金属である亜鉛(Zn)は、脳内では多くはシナプス小胞内に含まれ、神経細胞の興奮と共にシナプス間隙に放出される。このZnは脳神経系の機能発現、記憶学習にとっても重要な働きを持つ。近年、アルツハイマー病、プリオン病、脳血管性認知症などの神経疾患の発症にZnが重要な働きを持つことが明らかになってきた。ここでは、シナプスにおけるZnと疾患関連タンパク質の相互作用、そして神経疾患の発症に及ぼす影響について概説したい。
話題
最前線
最前線
  • 西田 圭吾, 内田 亮太
    2018 年 54 巻 7 号 p. 675-679
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    亜鉛は生命活動に必要とされる必須微量金属元素の1つであり、1960年代に相次いで報告された亜鉛欠乏症が契機となって様々な生体機能における亜鉛の関与が示されている.亜鉛の恒常性は亜鉛トランスポーターやメタロチオネインによって制御されており、主として遺伝子ノックアウトマウスを用いた一連の研究によって哺乳類の初期発生、全身成長、生体防御機能などにおける亜鉛の恒常性の意義が分子レベルで明らかになりつつある.
    一方、外傷や感染症で皮膚の表皮層が壊されると、止血と炎症から始まる極めて複雑な一連の生体反応が起こる.その治癒にいたるまでの過程を皮膚創傷治癒という.この皮膚創傷治癒に、亜鉛がポジティブに制御していることは古くから知られていた.しかしながら、具体的に亜鉛が皮膚創傷治癒の過程にどのような役割を担っているか十分に理解されていなかった.今回、マスト細胞が放出する亜鉛が皮膚創傷治癒を制御する新しい機序に関して、著者らの研究グループで得られた知見を中心に紹介する.
話題
セミナー
  • 安井 裕之, 内藤 行喜, 吉川 豊
    2018 年 54 巻 7 号 p. 683-687
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    筆者らは,生体必須の無機元素である「亜鉛」の生体作用を高めることを目的とし,錯体化学・物性評価・分子生物学・薬物治療といった一連のプロセス研究を通じて,無機元素を含んだ低分子化合物の創薬研究を行っている.多彩な生理作用とトランスポーター研究の進展により近年注目されている亜鉛は,皮膚創傷,胃潰瘍,ウィルソン病,低亜鉛血症の治療薬として既に臨床で使用されている.今回,糖尿病を治療する可能性を秘めた亜鉛錯体の基礎研究を紹介する.
最前線
セミナー
  • 森山 光彦
    2018 年 54 巻 7 号 p. 693-697
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    亜鉛は,生体内組織において金属酵素や金属要求酵素などの活性発現に作用しており,生体機能維持に重要な役割を果たしている.したがって,亜鉛欠乏状態は様々な病態を引き起こす.肝疾患患者では,肝病態の進展とともに血中亜鉛濃度は低値を呈し,特に非代償性肝硬変では著しい低値となり,様々な合併症の難治の原因となるために,亜鉛の補充は重要である.本稿ではこのような病態の解説と,実際に当科で施行した亜鉛補充療法について説明し,亜鉛補充の重要性を紹介する.
FYI(用語解説)
  • 児玉 浩子
    2018 年 54 巻 7 号 p. 698_1
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    亜鉛欠乏症とは,血清亜鉛値が低値で亜鉛欠乏の症状をきたす状態を定義する.低亜鉛血症は血清亜鉛濃度が低下し,生体内の亜鉛が不足した状態である.血清亜鉛値の基準は80〜130µg/dLであり,60〜80µg/dL未満を潜在性亜鉛欠乏,60µg/dL未満を亜鉛欠乏症と定義している(日本臨床栄養学会編:亜鉛欠乏症の診療指針2018).ICD10には「亜鉛欠乏症(E618)」の疾患名はあるが,低亜鉛血症の疾患名はない.一方,亜鉛製剤の保険適応病名は“低亜鉛血症”で,血清亜鉛値が低値(目安:80µg/dL未満)であれば,処方できる.保険申請病名は亜鉛欠乏症の同義語として読み替えられる.
  • 本間 謙吾, 藤澤 貴央, 一條 秀憲
    2018 年 54 巻 7 号 p. 698_2
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    膜タンパク質や分泌タンパク質の生合成と高次構造形成の場である小胞体には,正しい構造をとることのできなかった不良タンパク質が存在している.このような小胞体内不良タンパク質を小胞体から細胞質へと逆輸送し,ユビキチン-プロテアソーム系によって分解する機構が,小胞体関連分解(endoplasmic reticulum-associated degradation:ERAD)である.ERAD複合体は多数のタンパク質から構成されており,基質タンパク質によってその構成因子が異なる.
  • 西田 圭吾, 内田 亮太
    2018 年 54 巻 7 号 p. 698_3
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    褥瘡とは,寝たきりなどの状態によって,体重で圧迫されている場所における皮膚表層と骨の間の組織において血流が悪くなったり滞ることで,その結果,皮膚の一部が赤い色味をおびたり,ただれたり,傷ができてしまうことである.一般的に「床ずれ」ともいわれている.体重による圧迫だけで褥瘡を誘発するわけではなく,栄養状態が悪い,皮膚や筋肉の衰えで皮膚に弾力がなく,しわやたるみがある,抗がん剤やステロイドなど薬の副作用で免疫力が低くなっているなど,組織耐久性低下の条件が加わることで褥瘡が発生すると考えられている.
  • 安井 裕之, 内藤 行喜, 吉川 豊
    2018 年 54 巻 7 号 p. 698_4
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    ウィルソン病は,予後不良な肝硬変を伴う錐体外路障害を示す疾患として1912年に報告された.銅輸送タンパク質であるATP7Bの遺伝子に異常が生じている常染色体劣性遺伝性の銅代謝異常症であり,放置すれば肝臓に多量の銅が蓄積して重い肝障害を発症する.早期発見により発症予防や疾患治療が可能であり,血中や尿中の銅結合セルロプラスミンを指標とした診断や,末梢血からのATP7B遺伝子解析から患者の早期発見が実現されている.臨床における治療薬には,銅排泄を促進するキレート剤のD-ペニシラミンや塩酸トリエンチン,および食事由来の銅と結合して腸管からの銅吸収を妨げるメタロチオネインを誘導する酢酸亜鉛が使用されている.
家庭薬物語
  • 土屋 結香
    2018 年 54 巻 7 号 p. 700-701
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    弘田長博士が1906年、東京・神田に創業した和光堂薬局で、あせも予防を目的として発売された国産初のベビーパウダーが辞書にも商品名で掲載されている「シッカロール」である。本品に含まれるタルクやコーンスターチなどの細かい粒子が毛細管現象により余分な汗を吸い上げ、肌をさらっとした状態に保つことができ、収れん作用を目的にクロルヒドロキシアルミニウムも含まれている。パッケージも時代を映しており、小児の健康と成長を見守っている。
薬学を糧に輝く!薬学出身者の仕事
くすりの博物館をゆく
  • 池田 幸弘
    2018 年 54 巻 7 号 p. 704-705
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    山形市郷土館は,山形城の城跡を整備した霞城公園に建てられている.山形城は,延文元年(1356年)に羽州探題として山形に入部した斯波兼頼(最上家初代)が築城したのが始まりと伝えられ,歴史のある城の部類に入ると言えそうである.城主が最上義光(1546〜1614年)のとき,この地でもう1つの関ヶ原合戦と呼ばれる「長谷堂合戦」(1600年)が繰り広げられた.上杉家の直江兼続らが本城に攻め込んできた際,10日間にわたって城に霞がかかり,城郭が全く見えなかったことから,別名の「霞ヶ城」の名が付けられたという.その間に石田軍敗走の報が届き,この東北での戦いは終結した.
日本ベンチャーの底力 その技術と発想力
トピックス
  • 佐古 真
    2018 年 54 巻 7 号 p. 710
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    (+)-パンクラチスタチン(1)およびその7位デオキシ体2は抗腫瘍活性や抗ウイルス活性を有するアルカロイドであり,それらの効率的な合成法の開発は重要な研究課題である.最近,Sarlahらは無置換のベンゼン(3)から全7工程で1の不斉全合成を達成したので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Hernandez L. W. et al., J. Am. Chem. Soc., 139, 15656-15659(2017).
    2) Southgate E. H. et al., Nat. Chem., 8, 922-928(2016).
  • 市丸 嘉
    2018 年 54 巻 7 号 p. 711
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    代謝安定性や水溶性が良好なスルホンアミド基は,抗菌薬やチアジド系利尿薬など,種々の医薬品構造に含まれる.近年,スルホンアミド基に代わる置換基として,良好な物性を示すスルホキシミン基が注目されている.本稿では,スルホキシミン基の導入によるリード最適化の例として,バイエル社が開発中のサイクリン依存性キナーゼ(cyclin-dependent kinase, CDK)9選択的阻害剤アツベシクリブを紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Frings M. et al., Eur. J. Med. Chem., 126, 225-245(2017).
    2) Lücking U. et al., ChemMedChem, 12, 1776-1793(2017).
    3) Lücking U., Angew. Chem. Int. Ed., 52, 9399-9408(2013).
  • 萬瀬 貴昭
    2018 年 54 巻 7 号 p. 712
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    アスコルビン酸(AA)は,加熱等により容易に酸化されやすい不安定な物質であるにもかかわらず,医薬品,香粧品,食品等の様々な分野で利用されている.そのため,安定性向上を目的として種々の誘導体化が試みられている.例えば,AAの酸化されやすい2位水酸基をグルコシド化することで安定化したアスコルビン酸グルコシド(以下AA-2G, 図1左)は,生体内のグルコシダーゼによりAAを遊離するプロビタミンCとして働くことが知られている.Taiらは,AA-2Gの6位水酸基に直鎖アシル基を導入し,皮膚透過性を向上した6-sAcyl-AA-2G類(図1右)を開発している.
    最近,同グループのMiuraらが,6-sAcyl-AA-2G類の抗アレルギー作用を見いだしたので紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Tai A. et al.,Biosci. Biotechnol. Biochem.,66,1628-1634(2002).
    2) Yamamoto I. et al.,J. Med. Chem., 45,462-468(2002).
    3) Miura K. et al.,Molecules22,2202(2017).
  • 磯川 宗生
    2018 年 54 巻 7 号 p. 713
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    生体試料分析は,人々の健康状態や疾病の診断を行う上で必須の技術であり,臨床現場即時検査(point of care testing:POCT)に向けて,その分析法の簡便化が望まれている.この要請に応えた分析機器として,呈色試薬を含有した試験紙であるディップスティックが挙げられる.ディップスティックは,試験紙部分を試料溶液に浸し,その色調変化を観察することで,特定分子の有無の判別に用いられる.また,色調変化の度合いから定量分析も可能であるものの,その定量性には課題があった.
    そこで本稿では,このディップスティックを組み込んだマイクロ流体デバイス(=μmオーダーの流路を有するチップ)と,スマートフォンを利用した色調測定システムを構築し,人工尿試料における生体分子分析の定量性を向上させたJalalらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Delanghe J. et al., M. Biochemia. Medica., 24, 89-104(2014).
    2) Jalal U. M. et al., Anal. Chem., 89, 13160-13166(2017).
  • 竹之内 康広
    2018 年 54 巻 7 号 p. 714
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    糖尿病網膜症は糖尿病の三大合併症の1つであり,成人における失明原因の上位を占める.その発症経過は,まず自覚症状のないまま網膜の浮腫・出血および虚血を起こす非増殖網膜症の段階を経る.その後,損傷により生じた新生血管が破綻して増殖膜が生じ,網膜を牽引することで網膜剥離をきたす増殖網膜症という深刻な状態に陥る.網膜の血管内皮細胞は周皮細胞により被覆され,血管壁を形成している.糖尿病による非増殖網膜症時には,周皮細胞の減少や無細胞毛細血管の増加が認められ,血管破綻の原因となる.併せて血管透過性の亢進も認められ,血管外漏出に関与すると考えられている.n-3系多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)は網膜の主要な構成成分であり,摂取による組織レベルでの上昇は網膜傷害後の血管再生を増加させるなど目に良い効果が報告されている.体内に摂取されたDHAは,中間体であるエポキシドコサペンタエン酸を経て,可溶性エポキシドヒドロラーゼ(sEH)によりジヒドロキシドコサペンタエン酸(DHDP)へと代謝される.本稿では,sEHの過剰発現に伴う19, 20-DHDPの産生増加が糖尿病網膜症の悪化に関与することを示したHuらの研究について紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Antonetti DA. et al., N. Engl. J. Med., 366, 1227-1239(2012).
    2) Malamas A. et al., Int. J. Ophthalmol. 10, 300-305(2017).
    3) Spector AA., Kim HY., Biochim. Biophys. Acta, 1851, 356-365(2015).
    4) Hu J. et al., Nature, 552, 248-252(2017).
  • 清水 典史
    2018 年 54 巻 7 号 p. 715
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    大うつ病性障害(MDD)の発症には慢性ストレスが関与していることが知られているが,その詳細なメカニズムは未だ不明である.近年,MDD患者では血中インターロイキン-6(IL-6)が高値を示すことが報告されており,また動物実験においても,マウスへの慢性ストレス負荷が血中IL-6を増加させることが報告されている.これらの報告は,慢性ストレスにより誘導されたIL-6がうつ病の発症に関与している可能性を示唆している.しかしながら,末梢血中のIL-6と中枢性疾患であるMDDの発症とを直接的に結び付ける証拠はない.
    本稿では,慢性ストレスが血液脳関門(BBB)の透過性を亢進させることによりIL-6の脳実質への侵入を許し,これがうつ様行動の発現につながることを明らかにしたMenardらの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) O’Donovan A. et al., Depress. Anxiety., 30, 307-314(2013).
    2) Hodes G. E. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 111, 16136-16141(2014).
    3) Menard C. et al., Nat. Neurosci., 20, 1752-1760(2017).
  • 川井 眞好
    2018 年 54 巻 7 号 p. 716
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    アーキア(古細菌)は,温泉,火山の噴出物,アルカリ湖などから分離される,高温,高pH,高塩濃度などの極限環境で生息できる特殊な機能を持つ微生物である.アーキアは原核生物でありながら真正細菌とは異なる進化をたどり,系統学的には真核生物に近いグループである.アーキアには多様な種が存在し,主にDiapherotrites, Parvarchaeota, Aenigmarchaeota, Nanoarchaeota, Nanohaloarchaea(DPANN)系統,EuryarchaeotaProteoarchaeotaの3つのグループに分けられている.これまでにもヒトの微生物叢にアーキアが含まれることが報告されており,胃や腸には,Methanobrevibacter属を代表とするメタン生成アーキアの存在が明らかとなっている.これらは代謝過程で炎症性腸疾患,歯科疾患,脳膿瘍のような疾病と関連することも報告されている.また,腸内には好塩性アーキアが常在していることや,皮膚や膣でもアーキアが存在していることが報告されている.しかしながら,ヒトにおけるアーキアの生態とその役割は明らかにされていない.そこで,ヒトの身体におけるアーキアの分布と病原性に関する知見を得たKoskinen らの報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Eme L. et al., Nat. Rev. Microbiol., 15, 711-723(2017).
    2) Koskinen K. et al., mBio, 8, e00824-17(2017).
  • 細野 浩之
    2018 年 54 巻 7 号 p. 717
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/07/01
    ジャーナル 認証あり
    HIV-1感染患者の予後は,抗レトロウイルス薬多剤併用療法(cART)により劇的に改善した.しかし,cARTでは,副作用や薬剤耐性HIV-1変異体の出現などが起こるため,生涯にわたってウイルスを抑制し続ける治療が,最終的に失敗することがある.特に,HIV-1感染患者の40〜83%に発生するHIV関連神経認知障害はcARTの効果が得られにくく,中枢神経系におけるウイルス抑制は課題として残されている.本稿では,これらの課題を克服する可能性を秘めたGRL-142創製の報告を紹介する.
    なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
    1) Saylor D. et al., Nat. Rev. Neurol., 12, 234-248(2016).
    2) Aoki M. et al., eLife, 6, e28020(2017).
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