ファルマシア
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19F MRIプローブ
中村 竜也松下 尚嗣菊地 和也
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2014 年 50 巻 1 号 p. 44-48

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抄録

核磁気共鳴画像化法(magnetic resonance imaging:MRI)は,静磁場中に置かれた核種の核磁気共鳴(nuclear magnetic resonance:NMR)シグナルに,磁場勾配を用いて位置情報を付加し,コンピュータ上で核種分布の画像を再構成する生体断層イメージング法である.MRIは,生物個体内のありのままの情報を,高い空間分解能で無侵襲に追跡可能である.このため,各種信号パターンやパルスシーケンス法を用いて,様々な病変を特異的に可視化する手法が開発されている.この結果,水の拡散性,あるいは脂肪組織などの組織内成分の違いを基に,組織の質的違いを画像化する診断法が開発されてきた.
本稿では,上記の物理原理に基づく計測手法の高精度化ではなく,化学原理に基づく分子プローブ開発について述べる.化学手法を用いる利点としては,様々な化学スイッチが組み込まれた分子プローブを開発することで,特定の分子情報や細胞情報を可視化できる可能性が高いことが挙げられる.

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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