ファルマシア
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最前線
構造で読み解くエピゲノム科学
西村 善文
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2014 年 50 巻 5 号 p. 418-422

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抄録

2001年にヒトゲノム解析が報告され,2007年にワトソンやヴェンターのゲノムが解析され,個人ゲノム情報が解明できるようになった現在,改めてエピジェネティクスが注目されている.エピジェネティクスとはDNA配列を変化させないで,遺伝子の表現系や遺伝子発現量を変化させる機構である.その実体はDNA周りの構造変化であり,DNAのメチル化やDNAの折れ畳み方であるクロマチンの構造変化である.細胞内に起こっている,これらエピジェネティクスの変化の総体を「エピゲノム」と呼ぶ.エピジェネティクスの言葉は1942年のウォディントンの命名によるとされるが,ジェネティクスを超えた上位の(ギリシア語επι:エピ)変化として名付けられた.ここではクロマチンの構造変化に重点を置いて,エピゲノムの現状を簡単に紹介したい.

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© 2014 The Pharmaceutical Society of Japan
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