ファルマシア
Online ISSN : 2189-7026
Print ISSN : 0014-8601
ISSN-L : 0014-8601
トピックス
喘息・COPD治療ターゲットとしての神経内分泌細胞
千葉 義彦
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 52 巻 11 号 p. 1077

詳細
抄録

肺はガス交換を行う重要な臓器である.吸気はいくつにも分岐した気管支を通って,最終的に肺胞に到達する.この時,空気中の種々の物質に曝されることになるが,それを感知・応答するメカニズムの大部分は不明である.肺神経内分泌細胞(pulmonary neuroendocrine cells:PNECs)は,気管支上皮細胞全体の1%未満しか存在しない“rare”な細胞である.PNECsはおもに気管支分岐点にクラスターとして存在し,in vitroにおいて酸素濃度変化を感知してCGRP等の神経ペプチドやセロトニンを分泌することが知られている.種々の閉塞性呼吸器疾患でPNEC増加が報告されているが,発症との因果関係は不明である.本稿では,PNECsのin vivoにおける生理的機能を解明したBranchfieldらの報告を紹介する.
なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.
1) Branchfield K. et al., Science, 351, 707-710 (2016).
2) Kantarci S., Donahoe P. K., Am. J. Med. Genet. C. Semin. Med. Genet., 145C, 217-226 (2007).
3) Noguchi M. et al., Cell Rep., 13, 2679-2686 (2015).

著者関連情報
© 2016 The Pharmaceutical Society of Japan
前の記事 次の記事
feedback
Top