薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)では、薬剤師に求められる基本的な資質・能力の一つとして「科学的探究」が挙げられ、薬剤師の生涯にわたる目標として設定された。専門薬剤師は「特定の専門領域の疾患と薬物療法についての十分な知識と技術ならびに経験を活かし、医療スタッフの協働・連携によるチーム医療において質の高い薬剤業務を実践」するだけでなく、「その領域で指導的役割を果たし、研究活動も行うことができる能力を有することが認められた者」と定義されている。学術論文の有用性には二面性があり、一つはエビデンスとしての社会的有用性、もう一つは著者の学術的実績である。専門薬剤師には、専門領域で行われる薬物治療で不足するエビデンスを肌で感じ、切実なテーマに基づいた研究を実施することで、エビデンスとして構築することが求められる。