繊維学会誌
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レピアーをそなえた有ひ織機
上出 孝中村 進一
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1967 年 23 巻 11 号 p. S320-S322

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抄録

レピアーをそなえた有ひ織機というテーマであるが,一般的にはレピアー・ルームならばひは使用しないし,シャットル・ルームならばレピアーを持たないぶ,この織機は両側多丁ひ織機でありながらレビアーをもつている。従つて緯糸使いとしてはシャットルで,地緯および縫取糸を公知のピックアットウィルモーションにより緯入れし,レピアーで特殊な偏平糸(箔)を緯入れできるようにしたものである。即ちここでいうレピアーは断面が円形に近い普通の糸を挿入するのではなく,偏平な表裏のある糸(片面箔)をよしれが全く入らないように,経糸間に挿入できるように,特別な配慮を施したレピアーを取付けてある。
本機は昭和37年4月より基礎研究を開始し, 39年8月に試作機を完成,約2年半の研究期間中充分なる試織を行い,現在西陣に40台納入稼動中である。製織品は引箔袋帯で金箔,銀箔を使用し,製織効率は80%で初期の目標に到達している。従来この種の織物は手バタでしか製織出来なかつたが,本機の出現により手バタの3倍強の能率晦上となる。また織物の風合は手バタ織が最高とされているが,本機で製織したものはこれと同等な風合が得られ,従来の力織機織のものに見られない剛軟性の良好な織物が製織され実証された。加えてレピアーの機械化によつて手バタ織の場合ようも挿入された糸が均一な張力に保たれ織物風合が一段と向上される。
なお本機には特許6件,実胴新案10件を有している。

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