1981 年 37 巻 11 号 p. T467-T471
ポリ(β-ベンジルL-アスパラテート) (PBLAsp)のキャスト過程における構造と物性を検討した。0.08~1.0の濃度の溶液を凝結した試料の示差走査熱量計, X線回折計,赤外分光計による解析から凝集状態の異なる3つの型のPBLAspのα formが形成されていることが判うた。濃度0.08~0.30, 0.40~0.80, 1.0の溶液から凝結した試料はそれぞれ154, 140, 120°Cのα-ω転移温度を持ち,前二者は通常のα-ω転移の発熱量よりもかなり大きい発熱を示した。これはαヘリックスーωヘリックスの発熱の他にαヘリックスの配向が悪い凝集状態から良い配向状態へのエンタルピー変化を含んでいることを意味している。このようにα-ω転移にはαヘリックスの配向が必須であり,転移のさいには六方晶から正方晶配列への転移が起こり,引き続いてαヘリックスからωヘリックスのヘリックスの転移が起こると考えられた。