繊維学会誌
Online ISSN : 1884-2259
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TLのPET繊維の特徴づけへの応用
宮坂 啓象橋本 壽正
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1982 年 38 巻 10 号 p. T446-T449

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抄録

製造条件の異なる5種のPET繊維のTLを測定した結果,低温のβ分散に関係するTLには余り大きな差異はみられなかったが,約100°C以上の高温TLには大きな差が現われることがわかった。紡速1000m/min程度の未延伸糸, 3000m/min程度のPOYの未延伸糸は基本的には三つの極大をもつ同形の高温TLカーブを示す。しかし170°Cのピークは後者が明瞭になる。6000m/minの高速紡糸糸では, TLは全体として高温に移るとともに1100m, 3400m/minにみられたピークの構造が失なわれ単一のピークになる。後延伸による延伸糸のTLは非常に平坦であったが,幾分構造が残され幾つかの極大がみられる。タイヤコード糸は高温のTLの強度が強く,また形は6000m/minの高速紡糸糸のそれに類似である。以上の結果, TLは(特に高温のTLは)PET繊維の特性化に有用であることが示された。

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