抄録
羊毛-銅(II)錯体を過酸化水素で分解して得られたフラッグメントの水溶液中及びアルコール-水混合溶媒中の二次構造について,円偏光二色性を用いて検討した。水溶液中で,一部α-ヘリックス構造が形成され, pHの増加とともに減少した。又,アルコール-水混合溶媒中で,アルコール組成の増加にともなって, α-ヘリックス構造の増加が観測された。これら一連の転移は荷電ポリアミノ酸(ポリ-L-グルタミン酸,ポリ-L-リジン,など)に観測されたように側鎖解離基にもとづくものと考えられる。しかし,転移は荷電ポリアミノ酸に較べて,緩慢である。