ロイコナフタザリンは穏和な条件下すなわち染浴に還元剤,強アルカリなしで室温下毛髪を染色し,酸化剤を添加しなくても発色した。染色性はベンジルアルコールを染浴に添加することにより著しく増大した。染料の殆どは毛髪中のキュウティクル層に存在するが,ベンジルアルコールの存在下では容易にコルテックス層まで侵入した。洗濯堅牢度は極めて良好であり, 25%ビリジン水溶液中で還流処理しても脱着しなかった。
切断した染色毛髪の顕微分光スペクトルおよび染色毛髪のラマンスペクトルの結果は毛髪中ではロイコナフタザリンが単純にナフタザリンに酸化されないことを示しており,染料と毛髪との化学的相互作用が示唆された。
ロイコナフタザリンに反して,ロイコキニザリンはベンジルアルコール存在下でも毛髪を全く染色しなかった。