抄録
通常の湿式紡糸後,附加的に熱延伸を与えて作成された高強力ホモポリマーアクリロニトリル(PAN)繊維の微細構造を通常のホモ及び共重合PAN繊維と比較して,広角X線回折及び小角X線散乱を用いて研究した。広角X線のデータは円筒対称動径分布関数(CDF)法により解析した。CDFの子午線上には2.5Åの周期性が現れたが,この周期性は通常のホモ及び共重合PAN繊維では10Åで顕著に低下し,一近,高強力ホモポリマーPAN繊維で12Å以上で急激に消失した。高強力ホモポリマーPAN繊維のCDFの赤道上には6.5Å, 11.8Å, 16.4Åのピークが存在した。長周期構造の研究のために200°C-300°Cでの熱酸化処理物について小角X線散乱を測定した。通常のホモ及び共重合PAN繊維は,熱酸化処理後長周期を示したが高強力ホモポリマーPAN繊維ではそれが現れなかった。この潜在的な長周期構造を持たないことは高い分子配向度と共に高強力ホモポリマーPAN繊維の最も重要な特徴である。