抄録
わが国では毎年約100万トンの廃せっこうボードが排出されている。本研究はこの廃せっこうボードの有効利用を図ることを目的として,廃せっこうボードと副産物からなる無機複合体を開発することを目的とするものである。廃せっこうボード微粉末,フライアッシュ,高炉スラグ微粉末の3種類を用いて硬化体を作製し,流動性,圧縮強度,乾燥収縮に関する基礎的特性を調査した。また,廃せっこうボード微粉末の置換率の影響の検討を行った。結果,流動性(フロー)はフライアッシュが多い領域において卓越し,再生せっこう置換率の増大に伴ってフローが低下する傾向が認められた。強度に関しては高炉スラグ微粉末が多い領域では圧縮強度が高く,廃せっこうボード微粉末置換率が多い領域では圧縮強度が低下する結果となった。乾燥収縮についてはフライアッシュの多い領域において小さく,この場合再生せっこう置換率の影響は小さかった。